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マラソン・駅伝

“厚底シューズ”で相次ぐ好記録!「靴に走らされてる」現場指導者が高速化の裏に隠された苦悩を吐露

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2020.12.10

今シーズンの高速化の要因を「厚底シューズ」と考える川崎監督。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

今シーズンの高速化の要因を「厚底シューズ」と考える川崎監督。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 今では大半の長距離選手が厚底シューズを使用し、記録を次々と塗り替えているが、川崎監督は「靴に走らされてます」と表情を曇らせた。本来であれば、個々の走りに合わせた靴で走ることが理想であるが、市販の厚底シューズを使用することにより、靴に合わせた走りをせざるを得ないという事態に直面しているのだ。体格が人それぞれ違うように、効率的な走法は別々にあるはずだが、市販の靴を履くことで靴に合わせた走り方へと変わっているというわけだ。

 それでも選手は、靴をうまく履きこなし結果を出しているのは、紛れもない事実である。一方、靴による恩恵が大きい分、故障のリスクも上がった。「今まで普通に蹴っていたのが、カーボンがガッっと押し上げるわけですから、足底には絶対にきますよね。なおかつ、いつもより速い返しになるわけですから、足首の負担が大きい」と指摘する。場合によっては、致命的な怪我もしかねないと、マイナスの面も明かした。
 
 怪我のリスクを回避するため「筋力強化をしていかないと」と口にし、その上で「靴に走らされるのではなく、靴を利用するような走りを身につけないといけない」と課題を挙げる指揮官は、ただ一方で「筋力強化しつつ、靴もさらにバージョンアップすると、想像がつかないくらいの記録が出るかも」と可能性も見据えている。

 こうした革命的な靴が普及することで、選手をはじめ指導者は対応を急いでいる。もちろん川崎監督もその一人で、「異常な世界ですけど、ついていかざるを得ない」と時代に合った指導法を模索しているところだ。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部)

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