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ホープフルSでキラーアビリティが示したメンタルの成長。気性難をのぞかせたコマンドラインは“名匠”の手綱裁きに注目だ

三好達彦

2021.12.31

ホープフルSは、キラーアビリティが1馬身半差をつけて勝利した。写真:産経新聞社

 2021年最後のJRA・GⅠとなるホープフルステークス(中山・芝2000m)が12月28日、中山競馬場で行なわれ、単勝2番人気のキラーアビリティ(牡2歳/栗東・斉藤崇史厩舎)が快勝。重賞初挑戦でGⅠ制覇を成し遂げた。手綱をとった横山武史騎手は、2日前の有馬記念に続いて、GⅠレース2連勝で大躍進の年を締め括った。

 2着には4番人気のジャスティンパレス(牡2歳/栗東・杉山晴紀厩舎)が、3着には8番人気のラーグルフ(牡2歳/美浦・宗像義忠厩舎)が入った。一方、1番人気に推されたコマンドライン(牡2歳/美浦・国枝栄厩舎)は後方のまま12着に大敗した。

 レースはグランドライン(牡2歳/美浦・高木登厩舎)とボーンディスウェイ(牡2歳/美浦・牧光二厩舎)が引っ張ると、キラーアビリティはスムースに3番手をキープ。3番人気のサトノヘリオス(牡2歳/栗東・友道康夫厩舎)は中団に位置取り、スタートでやや後手を踏んだコマンドラインはその後ろ、10番手近辺を進んだ。
 
 1000mの通過ラップが1分00秒1のミドルペースで、先行勢に有利な流れとなるなか、馬群は縦長のまま4コーナーを回る。

 直線へ向いても粘るボーンディスウェイだったが、そこへ外から襲い掛かったのがキラーアビリティ。坂上で先頭に立つとアッという間に後続との差を広げ、追いすがろうとしたジャスティンパレスを寄せ付けず、1馬身半差をつけて堂々とゴールを駆け抜けた。

 ディープインパクト産駒のキラーアビリティは、6月の阪神(芝1800m)でデビュー。ここを5着とすると、8月の未勝利戦(小倉・芝2000m)で2着に7馬身差をつけて快勝。前走の萩ステークス(L、阪神・芝1800m)では、のちに朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)で3着に入るダノンスコーピオン(牡2歳/栗東・安田隆行厩舎)のクビ差2着となっていた。

 前進気勢が強すぎて掛かり気味になるのがウィークポイントと言われていたが、2週連続で調教に跨ってクセを掴んでいた横山武史騎手との折り合いがピタリ。積極的な位置取りから早めに抜け出し、その後も脚色を鈍らせることなく力強く押しきったのはメンタル面での成長の証と言えるかもしれない。