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マラソン・駅伝

青山学院大が箱根駅伝で強すぎるワケに迫る!OBから脈々と受け継がれる3つの“マインド”とは?

佐藤俊

2022.02.01

2位の順天堂大に10分以上もの差をつけ2年ぶり6回目の優勝を果たした青学大。写真:JMPA

2位の順天堂大に10分以上もの差をつけ2年ぶり6回目の優勝を果たした青学大。写真:JMPA

 青山学院大からは、次々と強い選手に出てくる。

 他大学から苦情のように言われていることである。いろんな要因があるが、基本的には強化の仕組みと個人の意識の問題がマッチングしないとなかなか難しい。良質な環境だけを与えてもダメだし、選手の意識がともなわないと練習の効果は半減してしまう。

 チーム強化の1丁目1番地は、スカウティングであり、それが強い選手を作る源になる。いくらいいメニューをつくっても素材がもうひとつだと、強い選手にはなかなか至らない。

 青学大が箱根で初優勝した頃は、高校のトップクラスというよりは、それほど走れていなくても素材として面白い選手に声をかけ、「一緒に優勝しよう」という合言葉とブランド校の強みを活かしてスカウティングをしていた。

 今は、強化指定部制度が確立され、経済面と箱根優勝校としての実績、選手育成、大学のブランド力を軸にスカウティングをして、全国からタイムを持った優れた選手を獲得することに成功している。監督の積極的なメディア露出もチームの魅力を宣伝する意味においてはプラス効果となり、ここ最近は「青学大で走りたい」と指定する選手が増え、老舗で人気の「早稲田ブランド」に追いつきつつあるようだ。
 
 面白いものでチームが結果を出し、いい選手が集まってくると、それに呼応するように質の高い選手がさらに集まってくるようになる。それは先輩がいるとか、大学がいいということだけではなく、ひとつは高校の部活の監督のバックアップが大きい。

 有望な選手が進学しても伸び悩んだり、高校時のポテンシャルを発揮できないのはよくあることだ。そこで高校の監督が大学の強化策や指導に疑問を感じたり、陸上部の姿勢がブレている場合、次回からは選手が行きたいと意志表示しない限り、その大学を推薦することに慎重になる。

 だが、選手が大学での強化策で成長し、トラックや駅伝で結果を出せば、あそこでなら輝けると希望する選手が増えてくるし、指導者も信頼感を持って勧めてくれる。その後押しがなければ、なかなか優れた選手が大勢集まることはない。

 また、青学大は、箱根に勝つことを主眼として年間の練習カリキュラムが作られている。

 練習メニューの組み立てが細かくプログラミングされており、データも蓄積されている。そのデータを統計、分析して練習の消化率を出すことで、この時点でこのくらいの練習がこなせていれば、このくらいのタイムで走れる、というおおよその予想がつく。一定のレベルに達していない選手は、箱根のエントリ―に入れなくなるのだが、目標数値が明確なので、選手として頑張りがいがある。そこには選手の競争意識を高めるという仕掛けもある。

 こうしたことは他大学でもやっているので、取り立てて新しくはないだろう。
 
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