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イクイノックスら皐月賞の上位馬はやはり格上。“記録”が懸かる武豊&ドウデュースにも「勝つチャンスは十分にある」【日本ダービー】

三好達彦

2022.05.27

皐月賞では2着に入ったイクイノックス。逆転戴冠なるか。写真:産経新聞社

 89回目を迎える日本ダービー(G1、東京・芝2400メートル)がいよいよ5月29日に迫った。2019年に生まれたサラブレッド7522頭の頂点を決める大一番に、選び抜かれた18頭が参集。激戦必至と見られる"競馬の祭典"の行方を占いたい。

 結論から言うと、いわゆる"別路線"から出走に漕ぎ付けたメンバーに強力な上がり馬は見当たらず、一冠目の皐月賞(G1、中山・芝2000メートル)で上位4着までに入った馬たちによる再戦、優勝争いになると見る。

 なかでも一番に推したいのがキタサンブラックの初年度産駒、イクイノックス(牡3歳/美浦・木村哲也厩舎)だ。

 新馬戦(新潟・芝1800メートル)を2着に1秒0も差を付ける快勝で飾ると、次走の東京スポーツ杯2歳ステークス(G2、東京・芝1800メートル)では、上がり3ハロン32秒9という強烈な末脚の爆発力を見せ、2着に2馬身半の差を付けて快勝。この時点で"クラシック候補"として高い評価を受けた。

 しかし、まだ体質が弱く、レースの疲労をリカバリーするのに時間を要することから、このあと成長を促すためもあって約5か月の長期休養に入った。

 これだけ長い休養の復帰戦であり、またキャリアがわずか2戦という経験値の面でもハンデを背負いながら、"ぶっつけ"で臨んだ皐月賞では、いったん先頭に立つ大きな見せ場を作っての2着に健闘。ラスト100メートルは休養明けの影響もあってかやや脚色が鈍り、同厩舎の僚馬ジオグリフ(牡3歳/美浦・木村哲也厩舎)に差されたものの、あらためて極めてポテンシャルの高さを証明。他馬の陣営からも「あの馬はやっぱり強い」と、イクイノックスを高く評価する声が聞こえてくるほどだった。
 
 レース後は福島県のノーザンファーム天栄で疲労の回復と調整に努め、5月12日に美浦トレーニングセンターへ帰厩。追い切りでも素軽い動きを見せて、皐月賞から短期放牧を経た臨戦過程の順調さが窺い知れた。

 追い切りにまたがったクリストフ・ルメール騎手は、「メンタルの落ち着きは前のままで、動きはとても良くなった」と、パートナーを称賛。また木村調教師も、「まだ(高い)走力に体の強さが追いついていない感じはある」としながら、「以前は全力で走ると皮膚に湿疹が出たりしていたが、今回は毛艶もピカピカ。一度実戦を使った効果なのか、動きもとてもスムーズになっている」と、確かな上昇気配を感じ取っている模様だ。

 まだ伸びしろを感じさせる潜在能力の高さに、長期休養を経たのちに一回レースを使ったことによる上積みを加えると、本馬を一番手に推さない手はない。父が無念の大敗を喫した舞台で、孝行息子のイクイノックスが戴冠を成し遂げるか。
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