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100mハードルで“世界新”の選手のスパイクはまさかの長距離用!カーボン搭載の靴を選択したワケは?【世界陸上】

THE DIGEST編集部

2022.07.26

準決勝で世界記録を出すと、決勝では追い風参考記録だが、それをさらに上回る走りをみせた。(C)Getty Images

準決勝で世界記録を出すと、決勝では追い風参考記録だが、それをさらに上回る走りをみせた。(C)Getty Images

 現地時間7月24日、オレゴン世界陸上の最終日に女子100メートルハードル準決勝が行なわれ、トビ・アムサン(ナイジェリア)が12秒12(追い風0.9メートル)で世界新記録を打ち立てた。2016年にケンドラ・ハリソン(米国)がマークした12秒20を0秒08更新したのだ。

 アムサンは、その1時間50分後の決勝では、さらにギアを上げ、12秒06を叩き出した。だが、同記録は悔しくも追い風2.6メートルだったため、参考記録扱いだ。

 圧倒的な強さを大舞台で発揮したアムサン。そんな彼女が履いていたシューズに世界の目は注目している。というのも、今回アムサンが履いていたスパイクは、5000メートルや10000メートル用として作られている長距離用のものだったのだ。

 英国紙『The Telegraph』は、「無名のトビ・アムサンは、バネがある長距離用のシューズを履いて100メートルハードルの世界記録を破った。これによりスーパースパイクが話題になった」と記事で取り上げた。

 なんと彼女が履いていたのは、アディダスが発売する『Avanti TYO』というモデル。ソールの厚さは規定通り20ミリ以内であるため、正当な靴ではある。同メディアは「超軽量の素材で、かつてないほど多くのエネルギーを蓄えリターンを生み出す」ものと紹介したうえで、「アスリートたちは可能性を超えて挑戦することができる」と伝えた。
 
 レース後、アムサンは「私の能力はスパイクによるものだけではない」と世界記録の要因は靴ではないと断言し、「シーズンの初めに足底腱膜炎で1週間ほど走れなかった。アディダスに柔らかいソールのスパイクを頼んだら色々と勧めてくれた。結果、これが最も快適だった」と長距離用のスパイクを選んだ経緯を説明した。

 そんな彼女が劇的なパフォーマンスを披露できたのは、「スピードに磨きをかける必要があったため、シーズン初めは100メートルを走っていた。その効果は大きく、技術的な部分をクリアすれば、大丈夫だと思っていた」と振り返った。

 長距離界では今や常識となったカーボンプレートが搭載されたシューズ。今後は他種目でも、カーボンプレート入りのシューズを履く選手が増えそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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