レジェンドファイターが華々しい“ラスト”を豪快に飾った。

　現地時間11月5日にオーストラリア・シドニーはアウェア・スーパーシアターで行なわれたボクシングのヘビー級８回戦にて、“サモアの怪人”こと元K-1王者のマーク・ハント（ニュージーランド）が、元ラグビー選手で、プロボクシング９戦無敗の実績を誇るソニー・ビル・ウィリアムス（ニュージーランド）にKO勝利。試合後には「これが俺にとっては最後の試合になる」と引退を口にした。

「本当に最後なのか」――そう思えるほどハントの猛攻は凄まじかった。３回までは191センチの巨躯を利したウィリアムスの10センチものリーチ差に苦戦を余儀なくされた48歳だったが、徐々に一気に距離を詰めて流れを引き戻していく。

　そして雌雄が決したのは４回だった。まず、渾身の右フックで一度目のダウンを奪って形勢を逆転させたハントは、なんとか立ち上がるも依然としてダメージの残る相手に怒涛のラッシュを炸裂。最後は棒立ちで何もできなくなったウィリアムスを見かねたレフェリーが試合を止めた。
  　下馬評は決して高くはなかった。むしろ、周囲の予想は「圧倒的な不利」と言う見方が多かったと言っても過言ではない。それでも自慢の腕力で難敵を凌駕したK-１のレジェンドには、海外メディアも熱視線を送っている。

　英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』は、「ボクシング経験があったウィリアムスは無残にもハントに打ちのめされ、大番狂わせを起こされた」と強調し、KOシーンについては「綺麗なパンチが顎に着弾してからのウィリアムスはもう為す術がなく、レフェリーも試合を止める以外の選択はなかった」と描写した。

　また、米放送局『FOX Sports』は「大きな弱者と見られていたハントだっただけに信じられない結果だ。MMA界レジェンドが魅せた信じられない力の前にウィリアムスは床に崩れ落ちるしかなかった」とアップセットを披露したサモワンを絶賛。さらに英紙『Mirror』は「引退を決めていたハントの勝利を誰が予想していただろう。勝利の瞬間、シドニーの会場は地震が起きたかのように大きく揺れ、観客は熱狂した。彼（ハント）はこのまま去るのはもったいない」と引退宣言を惜しんだ。

　60ポンドの減量に成功し、並々ならぬ想いで今回の一戦に挑んだハント。その出色のパフォーマンスを見る限り、全盛期とまではいかないまでも、衰えは見られなかったが、果たして、このままリングから去るのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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