専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【名馬列伝】トウカイテイオー”奇跡の復活劇”。「中364日でのGⅠ勝利」で波乱万丈の現役生活に幕引き【後編】

三好達彦

2022.03.27

 ジャパンカップで復権を果たしたトウカイテイオーは、ファン投票でダントツ1位の後押しを受け、堂々と有馬記念(GⅠ、中山・芝2500m)へと駒を進めた。

 鞍上は、前の週に騎乗停止処分を受けた岡部騎手から、あらたに田原成貴騎手へとスイッチ。陣営からは「絶好調」のコメントまで飛び出して、最終的な単勝オッズは1.3倍の1番人気に推された。

 しかし、この日のテイオーはまったく精彩を欠き、終始後方のまま11着に大敗。彼を目当てに集まったファンは、ただただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

 田原騎手は「追い切りのときはよかったが、今日の返し馬では空気が抜けたような状態だった」とコメントし、松元省一調教師はゲートで脚を滑らして臀部の筋肉を痛めたことを敗因に挙げた。しかし、前走比-10キロという体重の減少を含めて、真相は分からず仕舞いだった。

 いずれにしろ、トウカイテイオーは取り戻したばかりの名声をあっけなく手放してしまったことは重い事実であった。
 
 6歳になった1993年も現役を続行することになったトウカイテイオーは、鹿児島での休養を経て、3月に栗東トレセンへ帰厩。宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200m)を目標にじっくりと調整が積まれていたが、レースの2週間前にまたも左前肢の橈骨(とうこつ)に剥離骨折があったことが判明。治療のため、レースを使えないまま、再度の休養に入った。

 そのため、復帰は前年に悪夢を見た有馬記念まで待たねばならなかった。

 トウカイテイオーは前年から+14キロというふっくらした好馬体で有馬記念への舞台に戻ってきた。

 それでも、実戦から丸1年離れていたわけで、陣営からポジティブなコメントが聞かれることはなかった。

 それは、テイオーが戦列を離れている間にめきめきと力を付けていた菊花賞馬ビワハヤヒデ、ダービー馬ウイニングチケット、ジャパンカップを快勝して臨んできたレガシーワールドの存在を意識してのことでもあった。ファンの意識も同様で、トウカイテイオーは前に挙げた3頭に後れを取り、オッズ9.4倍の単勝4番人気に甘んじた。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号