今大会ではフェアウェイキープ率が83.9%、ドライビングディスタンスが264ヤードと、飛んで曲らないティショットを放っていた。パーオン率も76.39%と悪くない数字だが、畑岡自身は初日からアイアンショットに不安を感じていた。
ところが、2日目の7番パー3を迎えた際、ボールの位置が遠くなっていることに気がついた途端、手応えが変わる。前週の試合はハワイでの開催だったこともあり、強風下でのプレーだったため、通常よりもボールを右に置き、なおかつボールから少し離れて立っていた。それを修正したことで、本来のショットを取り戻したのだ。
ジュニア時代からアイアンショットの精度には定評があった畑岡だけに、自信を持ってアイアンショットを打てること自体が大きな武器となる。2日目に首位に立ち、一度もその座を譲らなかった理由の一つだろう。
今回の優勝は5週後に迫った『全米女子オープン』に向けても価値ある1勝になった。まずは勝ち方がよかったこと。首位に立ってもプレッシャーを感じることなく、自分のペースでラウンドする姿を他のプレーヤーに見せつけたことで、畑岡に先行されたら逆転するのは難しいという印象を与えた。
仮に本戦で同じ状況になったら、相手選手が焦りを感じるのではないか。さらに、畑岡自身にとっても、自分のゴルフをできれば勝ち切れるという確信をつかめたはず。同時に、これまでやってきたことが間違っていないという証明にもなった。そういう気持ちがあると、メジャーのように大きな大会でピンチを迎えたときの支えになる。
どちらにせよ、ディフェンディングチャンピオンの笹生、そしてメジャーチャンピオンの渋野日向子に並んで畑岡と、今年の『全米女子オープン』には優勝候補に3人の日本選手が名前を連ねる。
三者三様の思いが交錯するだろうが、畑岡にとってはメジャーに対する強い気持ちのほかに、昨年のリベンジを果たしたい気持ちもある。今回の優勝に満足することなく、初のメジャータイトル獲得へ向けてさらに調子を上げていくつもりだ。
文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、07年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
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