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格闘技・プロレス

記録よりも記憶に残った名ファイター! アンディ・フグを2度もリングに沈めた南アの剛腕マイク・ベルナルド【K-1名戦士列伝】

橋本宗洋

2022.08.15

 攻撃はアグレッシブだが、だからこそ隙が生まれやすかった。調子の波も大きく、意外なところで凡戦も少なくなった。だが、ある種の人間くささも、ベルナルドの魅力だったのかもしれない。文字通りヘビー級の体躯だが、決してコワモテではなく、愛嬌があった。愛称は「ベルちゃん」。剃刀のCMでもお茶の間に浸透した彼の存在は、K-1が女性、ファミリー層にも人気を拡大した原動力の1人になっていたと言っていい。

 K-1ファイターとして、GPで優勝することはできなかった。しかし、名勝負ばかりのフグ戦、佐竹雅昭戦、極真空手から乗り込んできたグラウベ・フェイトーザ(ブラジル)を返り討ちにした98年の名古屋ドーム決戦など、勢いに乗った時の闘いぶりは手がつけられないほど。圧倒的な強さも兼ね備えていた。
 
 だが、後年はスランプに陥り“勝ったり負けたり”の時期も続いた。2006年に現役を引退。そして12年には42歳の若さで亡くなっている。別れの時はあまりに早く訪れてしまった。

 もしかすると、その潜在能力を開花させきれずに終わった選手なのかもしれない。ただやはり、記憶に残っているのはファイトスタイルがハマった時の爆発力と屈託のない笑顔だ。記録よりも記憶。そんなファイターだからこそ、リアルタイムで見てきた者として彼の勇姿を没後10年となる今年も記しておきたい。

文●橋本宗洋

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