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【名馬列伝】異質な「変則二冠」の概念を大偉業に変えたキングカメハメハ。名伯楽の慧眼は大種牡馬としての“最強時代”を築いた

三好達彦

2023.08.15

 米国のキーンランド・ノベンバーセールでノーザンファーム代表の吉田勝己が、ミスタープロスペクター(Mr. Prospector)系の大種牡馬キングマンボ(Kingmambo)の仔を受胎していたマンファス(父ラストタイクーン)という牝馬を競り落とす。その後、マンファスは日本へ輸入され、牡駒を産み落とした。

 その牡駒は2001年のセレクトセールに上場される。そこで、セリが行なわれる前に何度も下見をして「値段がいくらになっても買う」との心づもりになっていた馬主の金子真人に7800万円で落札された。そしてハワイ好きとして知られる金子が、ハワイを王国として統一した歴史的な人物、カメハメハ大王にならってキングカメハメハと名付け、栗東トレーニング・センターの松田国英厩舎に預けられることになった。

 デビューは2歳11月の新馬戦(京都・芝1800m)。前評判の高さから1番人気に推されたキングカメハメハは、中団の後ろにつけて直線へ向くと非凡な末脚を繰り出して差し切り勝ち。手綱をとった安藤勝己は、そのポテンシャルの高さを感じ取ったという。

 2戦目の500万下(現・1勝クラス)のエリカ賞(阪神・芝2000m)には武豊が騎乗。ここでは中団を追走すると、逃げ馬を余裕の脚色で交わして連勝し、松田はこのとき「変則二冠」を意識したと伝えられている。
 
 2004年、3歳の初戦には初の重賞挑戦となる京成杯(GⅢ、中山・芝2000m)に、短期免許で来日中のダリオ・バルジューを迎えて参戦。道中は後方を進み、徐々に位置を上げながら直線へ向いた。しかし意外にも、そこから伸びあぐねて3着に敗れた。バルジューはレース後に「馬が幼くて、そこに脆さが出た」というコメントを残しているが、敗因の真偽は定かではない。

 しかし、ひと叩きされたキングカメハメハは次走から一変する。2月末のオープン、すみれステークス(阪神・芝2200m)では初めての道悪も問題にせず、2着を2馬身半突き放して快勝。デビュー戦以来の騎乗となった安藤は、「前に乗った時とは、別馬のようだ」と、その成長ぶりに驚いたという。

 次走、3月末の毎日杯(GⅢ、阪神・芝2000m)は安藤が海外遠征するため福永祐一に乗り替わったが、ここも先行策からあっさりと抜け出し、前走と同じく2馬身半差をつけて圧勝を飾った。
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