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【名馬列伝】異質な「変則二冠」の概念を大偉業に変えたキングカメハメハ。名伯楽の慧眼は大種牡馬としての“最強時代”を築いた

三好達彦

2023.08.15

 秋は天皇賞(GⅠ、東京・芝2000m)を目標にすると陣営が発表。そのステップレースとして出走した神戸新聞杯(GⅡ、阪神・芝2000m)を楽勝したキングカメハメハだったが、天皇賞の前に右前肢に浅屈腱炎を発症していることが判明。強く速いだけではなく、ミスタープロスペクター系という日本では貴重な血統背景を持っていることから、陣営は彼の現役引退を決定し、翌春から種牡馬活動に入った。

 松田が言った通り、キングカメハメハの種牡馬シンジケートは総額21億円という、当時の最高価格を記録するほど評価が高かった。そして、ときはサンデーサイレンス産駒が盛んに繁殖入りした時期であったため、異系統のキングカメハメハはサンデー産駒の繁殖牝馬に付けられる強みもあって、種牡馬としても大成功する。
 
 輩出馬のなかには、現在の日本競馬界を支える名馬が目白押しだ。日本調教馬として初めて総獲得賞金が19億円に達した名牝アーモンドアイを出したことでも名高いGⅠ6勝のロードカナロアをはじめ、牝馬三冠のアパパネ、ダービー馬のレイデオロ(17年)とドゥラメンテ(15年)、海外GⅠを制したルーラーシップ、川崎記念(JpnI)3連覇を含め史上初のGⅠ10勝を達成したホッコータルマエなど、活躍馬をリストアップすると枚挙に暇がない。そして2010年と2011年には、リーディングサイヤーにも輝いている。

 2019年、種牡馬を引退して功労馬として余生を送っていたキングカメハメハだったが、その年の夏に体調を崩して惜しまれながら8月9日に繋養先の北海道安平町の社台スタリオンステーションで死んだ。ちなみに同年の7月30日には、サンデーサイレンスの後継種牡馬として飛ぶ鳥を落とす勢いだったディープインパクトが急死。平成の日本競馬における大種牡馬として一時代を築いた二大巨星が相次いで天国に旅立った。

「変則二冠」を初めて達成したキングカメハメハ。強さや速さの他にタフさも要求されるこの偉業を達成した馬は、2008年のディープスカイと、2頭だけしかいない。その血は、ロードカナロアなどの後継種牡馬によって未来へと繋がっていくだろう。(文中敬称略)

文●三好達彦

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