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「ダノンデサイルと真摯に向き合った」百戦錬磨の56歳・横山典弘の進言を受け入れた陣営の“英断”。無念の皐月賞除外が大きな布石に【日本ダービー】

三好達彦

2024.05.28

 果たして、ゲートが開くと先行策に打って出たのは百戦錬磨のベテラン勢だった。

 大外の18番枠から内に切れ込みながら先頭を奪ったのは、50歳の岩田康誠が騎乗するエコロヴァルツ(牡3歳/栗東・牧浦充徳厩舎)。2番手に付けたのが、55歳の武豊が騎乗のシュガークン(牡3歳/栗東・清水久詞厩舎)。56歳の横山典弘が手綱を握るダノンデサイルが3番手で続き、初のダービー制覇を狙う戸崎圭太(43歳)騎乗のジャスティンミラノも前目のポジションを奪いにいく。加えて言えば、ペースがスローになったことを察知して、向正面から早めに動いてぐいぐいと位置を押し上げたのは池添謙一(44歳)騎乗のサンライズアースぐらいだった。

 ちなみに先団でペースを作った岩田、武、横山典弘の3名は、いずれもダービージョッキーである。そのため、精神的に少なくないアドバンテージを有していたのだろう。第1コーナーへと向かう段階で、彼らが先行策で好位置を取りに行くことにおいて、いささかの迷いも見られなかった。

 800~1000mのラップタイムが13秒1という大きな緩みもあり、1000mの通過ラップは1分02秒2を計時。レースは予想通りに超スローペースになるなか、向正面で後方にいたサンライズアースが外を通って一気に2番手まで位置を押し上げる。そして、第3コーナー過ぎあたりからは中団以下の馬も仕掛けて馬群はひと塊になり、大きく横に広がって最後の長い直線を迎えた。

 シュガークンらが粘り込みを図るが、脚色がいっぱいとなり、そこへ先団からレースを進めていたジャスティンミラノが動くタイミングを計っていたが、内ラチ沿いの狭いスペースに突っ込んで一気に突き抜けたのが3枠5番のダノンデサイル。道中、インで動かずしっかりと貯めたエネルギーを末脚にかえて、ほぼ同じ位置から追い出したジャスティンミラノを突き放し、2馬身もの差をつけて悠々とゴール。第91代・ダービー馬の栄冠を手にしたのだった。
 
 3着には中団の後方から追い込んだシンエンペラーが入り、4着には道中でポジションを上げた方策がはまったサンライズアース。牝馬のレガレイラはやはり後方からの追い込みを余儀なくされたが、上がり3ハロンでは出走馬の中で最速の33秒2を叩き出して5着に入線した。

 一方、6番人気のコスモキュランダ(牡3歳/美浦・加藤士津八厩舎)もサンライズアースに連れて徐々に位置を押し上げたが、ひと伸び足りず6着。その他、3番人気のシックスペンス(牡3歳/美浦・国枝栄厩舎)は中団の前目を進んだが、こちらも終いの伸びが冴えず、9着に終わった。

 こうして結果を見ると、競走除外となったダノンデサイルも含めて1着から6着までが「皐月賞組」で、今年のクラシック一冠目がいかにレベルが高かったかを表している。その一方、上位入着馬は皐月賞の激闘による疲労の反動があったのではないか、という読みを入れることも可能かもしれない。
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