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「ダノンデサイルと真摯に向き合った」百戦錬磨の56歳・横山典弘の進言を受け入れた陣営の“英断”。無念の皐月賞除外が大きな布石に【日本ダービー】

三好達彦

2024.05.28

「ダービー馬」の称号を得たダノンデサイルは、昨秋の京都2歳ステークス(GⅢ、京都・芝2000m)で勝ったシンエンペラーから0秒1差の4着に入って注目され、今年初戦の京成杯(GⅢ、中山・芝2000m)で重賞初制覇を達成していた。

 しかし、3か月の休養をはさんで臨んだ皐月賞で、返し馬の際に横山典弘騎手がわずかな異変を察知して申告。馬体検査の末、跛行のため競走除外の措置が取られた。その結果、今回のダービーでは一気に人気を落としたわけだが、ダノンデサイルはもちろん、陣営にとっても大ごとになる前に、未然にトラブルを回避できたという意味で重要な出来事になったのである。

 最年長GⅠ優勝記録を打ち立てた同騎手は、デビュー戦から手綱を取り続け、スタッフへの厳しい直言も含み、ダノンデサイルの成長に必要なアドバイスを続けていたという。「違和感がない、ちゃんとした攻め馬ができるか、調教師と話しながら組み立ててきました。まだいい時のダノンデサイルの走りではないですが、この前よりはだいぶ良かったので、自信を持って競馬に臨めました」と、その感想を述べている。

 また、史上最年長でのGⅠ制覇について尋ねられると、「あまり気にはしていないのですが、GIは乗ることも大変ですし、まさか勝てるとは…。馬と真摯に向き合ったことが結果に結びついてくれたので、この上ない喜びです」と、3度目となる日本ダービー制覇を成し遂げた心情を素直に表した。
 
 それにしても、距離のロスがまったくないインでレースを進め、直線でも狭い内ラチ沿いから抜け出してきた絶妙な横山典弘騎手の騎乗には、あらためて感嘆の声を上げざるを得ない。ベテランの、ここ一番での常人離れした集中力と実現力の高さをまざまざと感じさせられる2分半だった。

 また、最年少(41歳)のダービートレーナーとなった安田翔伍調教師は、「前走の事もあったので、無事に終わったというのが最初の気持ちでした。その後、オーナーやサポートしてくれた騎手をはじめ、スタッフへの感謝の気持ちが湧いてきました」と喜びを語った。
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