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やっぱり汚れた英雄? “中国競泳界の巨星”孫楊はなぜ世界を敵に回してしまったのか

THE DIGEST編集部

2020.12.26

中国では老若男女を問わない人気者。とりわけチビっ子たちの憧れの的だった。(C)Getty Images

中国では老若男女を問わない人気者。とりわけチビっ子たちの憧れの的だった。(C)Getty Images

 孫楊と母親は即座に、電話でスタッフに招集をかけた。まもなくして駆け込んできたのが専属ドクターで、彼は中国代表チームドクターや国内ドーピング機関の専門家などに次々と電話で相談。最終的に医師団は孫楊に対して、「検査チームすべての身分証明書に不備があり、基準を満たしていない」と疑いをかけ、血液サンプルの持ち出しを断固拒否するよう進言した。
【動画】世界選手権優勝の孫楊が記念撮影を拒否した選手に「負け犬め!」と暴言! その決定的瞬間はこちら!

 リーダーである検査官は、抵抗する。「サンプルを取り上げることは正規の検査で違反を犯すよりも、重大な過失につながる。考え直したほうがいい」と警告もした。だが孫楊は強硬な姿勢で容器を寄越すように迫り、検査官はボックスから取り出して彼に手渡した。WADAが「脅迫的な言動」と表現したのは、まさにここでのやり取りだ。

 やがて孫楊はボディーガードに検体の入った容器をハンマーで壊すように指示。その際にも検査官との間で押し問答があったが、結果的に容器は壊され、孫楊はボディーガードが正確な作業ができるように、スマホのスポットライトを光らせて手助けまでした。彼らは中に収められていた血液サンプルの奪取に成功したのだ。

 そして孫楊は驚きの暴挙に出る。サイン済みの同意書も検査官から取り上げ、ビリビリに破り捨てたという。レポートの中でCASは「驚くべきことに(CASでの)審理の間、選手(孫楊)は自身の行動に対していっさい反省の弁を述べなかった。強情な態度で、他者の過失をひたすら攻撃し続けたのだ」と評している。

 FINAは年が明けて2019年1月、ハンマーでの破壊行為を認めつつも、孫楊側の主張をおおむね受け入れて、口頭での注意にとどめる意外な裁定を下す。孫楊はお咎めなしで同年7月の世界選手権に出場し、自由形でふたつの金メダルを獲得した。WADAはFINAの甘すぎる対応に遺憾の意を示して、CASへの提訴に踏み切ったという流れだ。

 その世界選手権では、先述のホートンが抗議の意味を込めて孫楊と同じ表彰台に上ることを拒否。追随したのが英国のダンカン・スコットで、彼は孫楊とのメダリスト記念撮影を拒んだ。この行為に激怒した孫楊は「どういうつもりだ! この負け犬め!」と罵り、その様子をライブ映像が捉えていたため、世界的な猛批判を受けることとなったのだ。

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