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やっぱり汚れた英雄? “中国競泳界の巨星”孫楊はなぜ世界を敵に回してしまったのか

THE DIGEST編集部

2020.12.26

昨年11月のCAS聴聞会の様子。次なるステージで孫楊と弁護団が選択する戦略とは──。(C)Getty Images

昨年11月のCAS聴聞会の様子。次なるステージで孫楊と弁護団が選択する戦略とは──。(C)Getty Images

 CASとの聴聞会ではたしかに、英語が不得意な孫楊にとっては完全アウェーの場だっただろう。審査官3人はすべて欧州出身者で、ほかにも中国語ができる適任者がいたにもかかわらず、CASは人選において配慮を欠いた。加えて米紙『ニューヨーク・タイムズ』によると、弁護団がスイス最高裁に送った上訴文で強調したのが、審査官のリーダーによる人種差別的な思想だったという。
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 聴聞会を仕切ったのは、かつてイタリアの外務大臣も務めたフランコ・フラッティーニ氏。弁護団はフラッティーニ氏がことあるごとにツイッターなどで中国を攻撃してきた証拠を集め、完全なアンチである点を訴えた。とりわけ中国国内で行なわれている動物虐待の実態などを徹底的に非難しており、聴聞会の以前から中国蔑視のスタンスが明白だったと断じている。

 WADAはスイス最高裁の差し戻し命令を受理し、CASも再審査を約束した。新たなリーダーの下で仕切り直しとなるが、欧米メディアはおおむね「厳罰に大きな変化はなし」と見ており、数年の減刑が見込める程度だろうと予測している。来年夏の東京五輪出場は、現実的に厳しいとの見方がもっぱらだ。

 ただ、それも孫楊側の態度次第だろう。ドーピング拒否に至った事実を認めて謝罪すべき点は謝罪し、反省の弁を述べるとともに会へのリスペクトを発露できなければ、世界が抱いている反感も払拭できない。さすがにいまでは中国国内のメディアでも、懐疑的かつ慎重な論調を示すところが少なくないのだ。

 栄光に彩られたキャリアから一転、その名声が地に堕ちてしまった孫楊。生ける伝説は聴聞会でなにを話し、現役続行へのいかなる青写真を描いているのか。世界中の注目がふたたび、29歳の言動に注がれる。

構成●THE DIGEST編集部

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