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バレーボール

彗星のごとく現れた日本バレー界のニュースター。高橋藍が熱血指導者と出会い、才能を開花させるまで【東京五輪】

北野正樹

2021.07.24

2014年の全中に出場した高橋藍⑪と塁①。写真:千代祐介さん提供

2014年の全中に出場した高橋藍⑪と塁①。写真:千代祐介さん提供

 2014年夏、千代が監督とした初めて出場した全中の試合で、藍は中学3年の重いボールを正確にセッターに返し、相手アタッカーの攻撃も読んでボールを拾い16強入りに貢献。その後、アタッカーとしての道を進む。「自分が大学で習った、トスと自分が打つタイミングをずらす方法などを教えたが、空中でのセンスがあり、出来なくてもうまくなりたいという気持ちが強く、成長していった」と千代は言う。

 3年生になった2016年、藍はJOC杯に出場し8強入りを果たしたが、高い評価は得られなかった。大会事務局(清田均・事務局長)がまとめた「大会データ集」によると、180センチ・65キロの藍の最高到達点は、上位選手中、36位の315センチ。試合では高い打点からスパイクを決めるなどジャンプ力も発揮したが、優勝してオリンピック有望選手に輝いた熊本選抜の水町泰杜(早大2年)やJOC・JVAカップを獲得した東京選抜の伊藤吏珠(同)、優秀選手の静岡選抜・山田大貴(同)らの陰に隠れていた。

 藍は、進学した東山高で豊田充浩監督、松永コーチの指導を受けオールラウンドプレーヤーとして成長し、現在在籍する日体大でさらに守備を磨くことになる。
 
 ここでは、世界を知る元リベロ、監督の山本健之(51)との出会いがあった。山本は、リベロ制度がない時代から、VリーグのJTでレシーバーとして活躍。リーグのベストリベロ賞を獲得、黒鷲旗全日本男女選抜大会優勝などに貢献したほか、日本代表としてワールドリーグなどにも出場した守備のスペシャリストで、ジュニアの監督も歴任。

「藍は、(ボールを)手に乗せるのが上手い」。山本は藍のアンダーでのレシーブからのパスをこう表現する。例えば、守りから攻撃への切り返し。「彼はどうしたら早く攻撃は入れるのかを、自然にやっている。レフトサイドで速いトスを打ちたい時、体重を左にかけがちだが、ボールがセンターに飛んでいくことも考えて、構えをキープしなければいけない。早く攻撃したい選手は助走しながらボールを当てるが、取りながら動くのではなく、取ってから動き出さなければいけない。彼は取ってから動くのが、他の選手より速い」と山本。

「なぜそれが出来るのかというと、当て方、手を置いている位置が非常にいい。セッターの方に手が向き、構えがそこで出来上がっている。そのままボールのところにすっと入っていくので、あとは蹴ってサイドに助走が取れる。わざわざ、サーブレシーブをするためにボールの正面に入って、ステップをしてボールを送って助走に行くという動作がない。レシーブに入ると、セッターの方に返るであろう面の出し方、手の置き方をしている」
 

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