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バレーボール

彗星のごとく現れた日本バレー界のニュースター。高橋藍が熱血指導者と出会い、才能を開花させるまで【東京五輪】

北野正樹

2021.07.24

攻守両面で貢献できる高橋の存在は、日本にとって心強い限りだ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

攻守両面で貢献できる高橋の存在は、日本にとって心強い限りだ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 あれから8年。

 コロナ禍で五輪開催が1年延期となり、成長した姿で国際大会デビューを果たす幸運にも恵まれた。

 諏訪が公園で兄弟を見つけてから15年。兄・塁は日大バレー部で活躍し、Vリーグのトップチーム入りが予想される選手になり、弟・藍は大学2年で代表選手に成長した。

 昨年12月25日。兄弟は、当時、千代が勤務していた市立伏見中学を訪れ、バレー部員を激励した。千代によると、塁は「千代先生は厳しいかもしれないが、信じてついていけば大きな目標を達成できる」、藍は「夢と目標を失わないで。小さな目標をコツコツとこなしていけば、大きな目標を達成することが出来る」と子供たちに話しかけてくれたという。

「目標にされる選手になってほしい」と五輪代表にまで成長した藍の姿を喜ぶ千代だが、最もうれしかったのは、五輪代表の12人が発表された時の藍のコメントだ。
 
「東京オリンピックの代表選手に選出していただいたことを嬉しく思いますし、感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、この選考に落ちた選手がいることを忘れずに、その選手の分まで頑張りたいと思います(略)」。12人の選手のうち、代表から漏れた選手への思いを語ったのは、藤井直伸(東レ)と藍だけ。

 トップアスリートになっても、謙虚さや他を思いやる心を忘れずにいることに、千代はさらなる成長を感じ取っている。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。
 

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