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食と体調管理

「車いすラグビーは楽しい! だから食べることも頑張りたい」。日本代表、倉橋香衣を突き動かすもの。支えるもの

THE DIGEST編集部

2022.02.01

車いすラグビーの最初の印象は「ぶつかっても怒られないでいいなぁ」 写真:徳原隆元

車いすラグビーの最初の印象は「ぶつかっても怒られないでいいなぁ」 写真:徳原隆元

――車いすラグビーを始めるきっかけは?

「退院してから自分で生活をするための訓練をする施設(寮)に入ったんですけど、そこに車いすラグビー部というのがあったんです。人数が少ないし一度見に来たら? と声掛けられて、体育館で見たのが最初ですね。その時は見たのは試合ではなく、寮に入っている2~3人がラグ車(競技用車いす)に乗ってガシャーンってぶつかり合っている姿でした。何より、ぶつかっても怒られないでいいなぁって思って、そこから自分も乗りたいって思うようになりました」

――ぶつかり合っているのが楽しそうに見えたと?

「車いすで生活を送る上で、つねに周囲にぶつからないように気を使っています。周りの人をケガさせてしまうこともあり、自分も車いすから落ちたらどうしようもないわけで、当たり前ですけど、壁とかに激突するとすごく怒られます。危ないことをしてはダメ、と言われ続けてきました。だけど、車いすラグビーだったら怒られない。そのことがとても魅力的に思えました」

――怖さとかはなかったんですか?

「なかったです。楽しそうですし、実際乗ってみてぶつかってみると、おもしろくて、それが試合になったら、どんなに激しくなるのだろうみたいな、ワクワク感の方が大きかったです」

――再びスポーツを始めること、それが車いすラグビーということで、周囲からは心配されたのでは? お母さまとか。

「競技自体というより、実家のある関西から離れて生活することを心配していたかもしれません。大学に復学し、関東のクラブチームに入ることになったので。母親としては、私の性格からして反対したところで我を通すだろうし、やるならちゃんとやりなさいって感じだったと思います。私のほうも、パラリンピック(2016年・リオ大会)直前ということもあり、車いすラグビーがメディアに取り上げられるという情報を仕入れては、テレビや新聞記事に出るらしいよ、と親に教えて競技のことを知ってもらおうとしていましたね」

――男性に交じってプレーされていますが、どういう風に自分のポジションをつくっていったのですか?

「ちょっとした車いすの向きが重要だったりするので、私にもできることがあるんです。チーム全体で心がけていることですが、自分はとくに皆よりスピードがない分、次に何が起こるか考えて、先に先に動き出し、それをやり遂げることを意識しています。迷っていると局面はどんどん進んでしまいます。仮に判断が間違ったとしても、それをきっかけに周りの3人が動き始める(車いすラグビーは4対4で戦う)ので、自分はとにかく最初のプレーを迷わず、速く判断すること。その精度を高めていくことが課題ですね。監督からももっと賢くプレーしろと言われています」

――具体的に倉橋さんのどんなプレーに注目すればよいですか?

「私の役割は、味方が走るコースやパススペースをつくるために相手をブロックしたり、車いすから突き出たバンパーで相手を引っかけたりして妨害したりすることです。相手の動きを読んで、バンパーを出す角度やタイミングがうまくはまれば、相手のエースを転ばせることもできるんですよ。それができなくても、味方がトライにつながればうれしいです」

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