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【名馬列伝】史上もっとも破天荒な三冠馬、単なる”駿馬”ではなかったオルフェーヴルの魅力

三好達彦

2022.03.05

 オルフェーヴルは4歳時と5歳時、二度にわたってフランスへ遠征。2年ともに前哨戦のフォワ賞(GⅡ、ロンシャン・芝2400m)に勝ち、日本のホースマンの悲願である凱旋門賞(GⅠ、ロンシャン・芝2400m)で2着に入っている。とりわけ惜しかったのは4歳時、2012年の凱旋門賞だ。

 この遠征では鞍上をフランスの名手、クリストフ・スミヨン騎手に依頼。フォワ賞で素直な走りで勝利を挙げたオルフェーヴルは、ますます調子を上げて凱旋門賞に臨んだ。

 凱旋門賞でも首尾は上々。好位置からラストスパートに入り、力強い末脚を繰り出して先頭に踊り出て、「すわ、日本馬の初勝利か!」と誰もが思ったその瞬間だった。急に内へと斜行すると、ラチに接触して減速。その間にフランスのソレミアにクビ差交わされ、掴みかけた特大の金星はするりと手から滑り落ちてしまったのだ。

 この敗戦の原因には諸説あるが、オルフェーヴルのやんちゃな性格を理解していなかったスミヨン騎手の油断や、陣営の指示の不徹底を指摘する声も少なくなかった。しかし、元はといえば馬自身の癖に起因する敗戦であり、同時に彼が世界の最高峰に立つだけの能力を持つ、日本の”史上最強馬”であるのを証明することにもなったのである。
 
 翌2013年の凱旋門賞でも2着したオルフェーヴルは帰国後、ラストランとなる有馬記念で2着を8馬身もぶっちぎる圧勝で有終の美を飾り、三冠を含むGⅠレース6勝という成績を持って種牡馬入りした。

 種牡馬としてもラッキーライラック(エリザベス女王杯2回、阪神ジュベナイルフィリーズ)、エポカドーロ(皐月賞)というGⅠ勝ち馬を出している。

 それと同時に、現役時代と同様の”ムラっ気”は健在で、昨年、米国のブリーダーズカップ・ディスタフ(GⅠ、デルマー・ダート9ハロン)で、産駒のマルシュロレーヌが超人気薄の世評を覆して快勝。ダート競馬のメッカである米国での日本馬として初のダートGⅠ勝利というこの快挙は、けっして大袈裟でなく、世界中のホースマンが驚愕する大事件となった。

 次はどうやってファンを驚かせてくれるのか。現役を引退し、種牡馬生活に入っても気にせずにはいられない、愛すべき”やんちゃ坊主”。それがオルフェーヴルなのである。

文●三好達彦

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