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【名馬列伝】皇帝が送り出した天才、トウカイテイオー。無敗の二冠制覇も骨折に泣く【前編】

三好達彦

2022.03.27

 無敗の二冠馬が戦列に復帰したのは翌春、GⅡ時代の大阪杯(阪神・芝2000m)だった。鞍上はシンボリルドルフの全戦で手綱をとった岡部幸雄騎手にスイッチ。調教でまたがった彼の「地の果てまでも走れそう」というコメントが、ターフへの復帰を心待ちにしていたファンの夢を一段と盛り上げることになった。

 そしてここでもまたトウカイテイオーは恐るべき強さを見せる。

 道中3番手を進んで”持ったまま”で直線へ向き、鞍上のゴーサインを受けると一気に加速。往時の跳ねるようなフットワークで突き抜けると、余裕の手応えでゴールした。

 復帰戦で満点以上の滑り出しで飾ったトウカイテイオーが臨むのは天皇賞・春(GⅠ、京都・芝3200m)。そこには、距離的に未知の領域へ踏み出すという意味のほかに、もうひとつの壁がそびえていた。

 武豊騎手とのコンビで、中長距離戦線において”絶対王者”とも呼ばれていた前年の覇者、メジロマックイーンである。
 
「辛口の岡部が褒めるテイオーのほうが強いに決まっている」
「菊花賞、春の天皇賞に勝っているマックイーンにかなう馬はいない」

 戦前、ファンが二手に分かれて喧々諤々の議論が交わされるなか、迎えた天皇賞。単勝オッズは、トウカイテイオーが1.5倍、メジロマックイーンが2.2倍と、テイオーがマックイーンの人気を上回って、未曽有の熱狂のなかで大一番を迎えた。

 しかし、競馬史上屈指の好カードは意外なほどあっさりと決着が着いた。
 2周目の4コーナーでマックイーンが仕掛け、それにテイオーが並びかけたシーンで熱気は最高潮に上り詰めたが、テイオーの見せ場はそこまで。たくましく脚を伸ばすマックイーンにみるみる差を広げられ、1秒7差の5着に沈んでしまった。

 生涯初の敗戦から10日後のこと。右前肢の剥離骨折が判明し、一敗地にまみれたヒーローは再度の休養を強いられることになってしまった。

文●三好達彦

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