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【名馬列伝】見事な復活で天皇賞を連覇!闘志を取り戻したスペシャルウィークが、現役最終戦で見せた気迫のレース<後編>

三好達彦

2022.07.31

 陣営も思わぬ大敗にショックの色を隠せなかったが、年齢的にズブくなって調教では条件馬に遅れることもあったスペシャルウィークを再び覚醒させるため、トレーニングの内容を強化するなど、思いつく限りの手を尽くして、予定どおりに天皇賞・秋(GⅠ、東京・芝2000m)へと進んだ。

 スペシャルウィークの体重は前走比-16㎏とすっきり絞れたものの、全盛期のような覇気が感じられず、厩舎スタッフも状態に関して半信半疑だったという。その雰囲気を反映してか、人気の面でもセイウンスカイ、ツルマルツヨシ、メジロブライトに次ぐ4番人気に甘んじた。
 

 しかしスペシャルウィークはこのまま終わるようなヤワな馬ではなかった。

 手綱をとる武が後方待機という思い切った策を取り、直線で外へと進路をとってゴーサインを出すと、ついに忘れかけていた闘志に火が灯った。鳴りを潜めていた爆発的な末脚を繰り出すと、直線だけで十数頭をまとめて交わし、2着のステイゴールドにクビ差をつけて勝利。大観衆の前で見事な復活劇を繰り広げ、1988年のタマモクロス以来、史上2頭目となる天皇賞の春秋連覇という偉業を達成したのである。

【動画】1999年 天皇賞・秋(JRA公式YouTube)

 蘇ったヒーローの勢いは増すばかりだった。

 当年の凱旋門賞を制したフランスのモンジュー、前年の英ダービー馬ハイライズらを迎えたジャパンカップでも、中団から切れ味抜群の末脚を使って抜け出すと、香港のインディジェナスに1馬身半の差をつけてGⅠを連勝。自身のラストランであり、春に苦杯を飲まされたグラスワンダーへのリベンジマッチとなる有馬記念へと突き進んだ。

 44回目を迎えたグランプリレースは史上に残る激闘となった。

 グラスワンダーが後方で折り合いを付けると、スペシャルウィークはそれを前に見る最後方にポジションをとって追走。2周目の第3コーナーから2頭が馬群の外を通ってぐいぐいとまくっていくところがターフビジョンに映し出されると、スタンドを埋め尽くした観客の熱気は最高潮に達する。
 
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