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ラグビー

熱狂の1か月半でラグビー文化は根を張った。4年前の"五郎丸フィーバー"と同じ道は辿らない

吉田治良

2019.11.06

「プール戦を突破してからの課題は、次の世代に託したい」

 田村はそう南アフリカ戦後に語っているが、今後のW杯でベスト4、さらにはファイナル進出を本気で目指すのであれば、選手層の拡充は必須のテーマと言えるだろう。

 今回のW杯を経て、日本に本当の意味でラグビーというスポーツが文化として根付く礎は築かれたと思う。4年前のイングランド大会で、当時の“エディー・ジャパン”が南アフリカを相手にジャイアントキリングを演じ、あの時も国内ではにわかにラグビーブームが巻き起こった。けれど長続きしなかったのは、それが大多数の人たちにとって、テレビ画面の向こう側で起こった奇跡でしかなかったからだ。

 しかし、今回は違う。多くのファンが、ボランティアが、いやごく普通の人たちが、試合日だけでなく練習日も、スタジアムだけでなく街の至る所で、ラグビーを肌で感じてきた。事前キャンプも含めれば2か月近くにわたって、我々日本人はラグビーの素晴らしさ、日本ラグビーの強さに直接触れてきたのだ。

 このチャンスを、決して逃してはならない。
 
 南アフリカのラッシー・エラスムスHCは、優勝を決めた直後の記者会見でこう話した。
「もし、来年最初のテストマッチに敗れれば、今回のW杯優勝ことなど忘れ去られてしまうだろう」

 世界チャンピオンでさえ、この気構えなのだ。一部報道によると、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの強豪4か国に、日本とフィジーを加えた「南半球6か国対抗戦」の創設も検討されているようだが、自国開催のW杯を控えた過去4年と同様に、日本協会はできるだけティア1の国との多くのテストマッチを組み、4年後のフランス大会に向けて積極的にチーム強化を図っていってもらいたい。

 W杯終了後、「ラグビーロス」なる言葉も聞かれるようになった。けれどW杯は終わっても、ラグビーというスポーツは続くのだ。来年1月にはトップリーグも始まる。4年前は「五郎丸(歩)フィーバー」が独り歩きした印象が強かったが、今回のジェイミー・ジャパンはまさに「ONE TEAM」。全員がヒーローだった。“笑わない男”稲垣啓太を見たければパナソニック、“ジャッカル”姫野和樹を見たければトヨタ自動車、“フェラーリ”松島幸太朗を見たければサントリーの試合に足を運べばいい。

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