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ラグビー

熱狂の1か月半でラグビー文化は根を張った。4年前の"五郎丸フィーバー"と同じ道は辿らない

吉田治良

2019.11.06

 何度でも言う。協会も、そして選手も、ラグビーが文化として根付こうとしているこの千載一遇の好機を、決して逃してはならない。

 10月27日、南アフリカがウェールズを退け、決勝進出を決めた夜。新横浜から乗り込んだ電車は、観戦帰りの両チームのファンで少しだけざわついていた。すると、座席に座っていた日本人の若者2人組のひとりが、まあまあ強めのトーンでこんなことを言い始める。

「こいつら、電車の中を居酒屋と勘違いしてるよな。少しぐらい静かにできないもんかね」
 
 ああ、これだけラグビーが盛り上がっていても、やっぱり否定的な見方をする人はいるんだな、誰もが外国からのお客さんに優しいわけではないんだなと、少しだけ残念な気持ちになったのだが──。

 相方が聞く。
「このラグビーって、まだ続くの?」
 憤慨していた若者が、さらさらと答える。
「次の金曜日が3決(3位決定戦)。でも味スタ(東京スタジアム)だから、この辺が混むのは、あとは土曜日の決勝の日だけだな」

 若者よ、君もちょっとは興味があったりするんじゃないか。熱狂の1か月半で、ラグビー文化は間違いなくこの国に根を張った。それを、ちょっとやそっとではビクともしない大木に育てられるかどうかは、これからの協会と、選手次第だ。

取材・文●吉田治良(スポーツライター)

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