チャンピオンズリーグ(CL)決勝に進出し、通算4回目の欧州制覇を狙ったインテルは、パリ・サンジェルマンに圧倒されて0-5。決勝での歴代最多得点差をつけられる不名誉な記録を樹立する屈辱的な敗戦を喫した。
【動画】パリSGがインテルを圧倒! CL決勝ハイライト
奇しくも1980年代から90年代にクラブを所有し、スクデット(1988-89シーズン)等のタイトル獲得にも貢献したエルネスト・ペッレグリーニが84年の人生に幕を閉じた日。インテルはドイツ・ミュンヘンで、マンチェスター・シティに決勝で敗れた2シーズン前の雪辱を果たし、元会長やインテリスタたちにビッグイヤーを捧げるはずだった。しかし、「ネラッズーロ」にもたらされたのは失望だった。
自国メディアは歴史的大敗に対して容赦なかった。スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は「スポーツに“恥”という言葉は使うべきではないが、ファンがこんなに呆然とし、屈辱を感じ、自分のクラブであるというだけで苦しみを覚えるのであれば、それ以外の言葉が見つからない。それはイタリア・サッカー全体の恥でもある。(中略)インテルが黄色のユニホームでプレーしたのが救いだった。黒と青の伝統色は汚れなかったが、このクラブの栄光ある欧州の歴史には泥が塗られた」と厳しく綴った。
この3シーズンで2回もチームをCL決勝へ導いたことで、戦前は多くの賛辞を贈られていたシモーネ・インザーギ監督だったが、3冠(セリエA、コッパ・イタリア、CL)を期待されて、それに手が届きそうだったにもかかわらず、最終的に無冠に終わった後、やはり批判が浴びせられることとなった。
『Gazzetta dello Sport』紙は、彼の采配に対して10点満点中の「3」というインテルのどの選手よりも低い採点を与え、「パリSGのローテーションやプレッシングを全く理解していなかった。交代の判断も全くもって恥ずべきものだ。今後はAFCチャンピオンズリーグで再起するかもしれない」とこき下ろしている。
また『La Repubblica』紙は、「今、残酷な問いと疑念が浮かび上がる。インザーギはインテルをあと一歩で栄光に導いた名将なのか? それとも4年でスクデット争いを2度、そしてCL決勝で2度、惨敗を喫した迷将なのか? もしCLを制していれば、(2009-10シーズンに)ジョゼ・モウリーニョがレアル・マドリーでそうしたように、名誉ある形で去れたかもしれない。しかし、これでは......どうやって続けるというのか?」と、こちらも去就に言及した。
一方で『Il Messaggero』紙は「多くの選手をフリー移籍で補強しながら、CLで毎シーズン好成績を残してきたインザーギ監督には感謝すべき」と49歳の指揮官を称えた。厳しい論調を展開した『Gazzetta dello Sport』紙も、一方で「今季のインテルはクラブ史上最高の収益を記録し、最終的に黒字決算になる見込みだと言われている。インザーギが監督に就任する前の2019-20シーズンには2億4600万ユーロ(約403億円)の赤字だったことを考えれば、大きな転換だ」と、インザーギ監督の功績を認めている。
ジュゼッペ・マロッタ会長も、試合後に「彼の評価に全く変わりはない。この4年間で、このクラブで采配を振るうに相応しい存在だと証明してきた。この間に我々が得た成果の多くは、彼によるものだ。ひとつの悪い夜が、これまで全ての功績を消し去ることはない」とインザーギ監督への信頼を示した。
ただし、サッカー専門サイト『calciomercato.it』が「スポーツディレクターのピエロ・アウジリオは、新たな監督を迎えて方向展開する時期が来たと感じている」と報じており、平均年齢29歳超のチームからの若返りを誰の舵取りで進めるかについて、クラブ首脳陣の中でも意見の相違が見られるようになった。
1970年メキシコ・ワールドカップ(ブラジルに1-4)、EURO2012(スペインに0-4)でのイタリア代表同様、ビッグイベントで決勝進出という偉業が失望と衝撃の大敗によってかき消されてしまった感のあるインテル。サウジアラビアのアル・ヒラル行きに「限りなく近づいている」(『Gazzetta dello Sport』紙より)インザーギ監督の4シーズンの集大成は、やや寂しい形で結末を迎えようとしている。
敗戦から3日後、インザーギ監督の退任が正式に発表された。
構成●THE DIGEST編集部
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奇しくも1980年代から90年代にクラブを所有し、スクデット(1988-89シーズン)等のタイトル獲得にも貢献したエルネスト・ペッレグリーニが84年の人生に幕を閉じた日。インテルはドイツ・ミュンヘンで、マンチェスター・シティに決勝で敗れた2シーズン前の雪辱を果たし、元会長やインテリスタたちにビッグイヤーを捧げるはずだった。しかし、「ネラッズーロ」にもたらされたのは失望だった。
自国メディアは歴史的大敗に対して容赦なかった。スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は「スポーツに“恥”という言葉は使うべきではないが、ファンがこんなに呆然とし、屈辱を感じ、自分のクラブであるというだけで苦しみを覚えるのであれば、それ以外の言葉が見つからない。それはイタリア・サッカー全体の恥でもある。(中略)インテルが黄色のユニホームでプレーしたのが救いだった。黒と青の伝統色は汚れなかったが、このクラブの栄光ある欧州の歴史には泥が塗られた」と厳しく綴った。
この3シーズンで2回もチームをCL決勝へ導いたことで、戦前は多くの賛辞を贈られていたシモーネ・インザーギ監督だったが、3冠(セリエA、コッパ・イタリア、CL)を期待されて、それに手が届きそうだったにもかかわらず、最終的に無冠に終わった後、やはり批判が浴びせられることとなった。
『Gazzetta dello Sport』紙は、彼の采配に対して10点満点中の「3」というインテルのどの選手よりも低い採点を与え、「パリSGのローテーションやプレッシングを全く理解していなかった。交代の判断も全くもって恥ずべきものだ。今後はAFCチャンピオンズリーグで再起するかもしれない」とこき下ろしている。
また『La Repubblica』紙は、「今、残酷な問いと疑念が浮かび上がる。インザーギはインテルをあと一歩で栄光に導いた名将なのか? それとも4年でスクデット争いを2度、そしてCL決勝で2度、惨敗を喫した迷将なのか? もしCLを制していれば、(2009-10シーズンに)ジョゼ・モウリーニョがレアル・マドリーでそうしたように、名誉ある形で去れたかもしれない。しかし、これでは......どうやって続けるというのか?」と、こちらも去就に言及した。
一方で『Il Messaggero』紙は「多くの選手をフリー移籍で補強しながら、CLで毎シーズン好成績を残してきたインザーギ監督には感謝すべき」と49歳の指揮官を称えた。厳しい論調を展開した『Gazzetta dello Sport』紙も、一方で「今季のインテルはクラブ史上最高の収益を記録し、最終的に黒字決算になる見込みだと言われている。インザーギが監督に就任する前の2019-20シーズンには2億4600万ユーロ(約403億円)の赤字だったことを考えれば、大きな転換だ」と、インザーギ監督の功績を認めている。
ジュゼッペ・マロッタ会長も、試合後に「彼の評価に全く変わりはない。この4年間で、このクラブで采配を振るうに相応しい存在だと証明してきた。この間に我々が得た成果の多くは、彼によるものだ。ひとつの悪い夜が、これまで全ての功績を消し去ることはない」とインザーギ監督への信頼を示した。
ただし、サッカー専門サイト『calciomercato.it』が「スポーツディレクターのピエロ・アウジリオは、新たな監督を迎えて方向展開する時期が来たと感じている」と報じており、平均年齢29歳超のチームからの若返りを誰の舵取りで進めるかについて、クラブ首脳陣の中でも意見の相違が見られるようになった。
1970年メキシコ・ワールドカップ(ブラジルに1-4)、EURO2012(スペインに0-4)でのイタリア代表同様、ビッグイベントで決勝進出という偉業が失望と衝撃の大敗によってかき消されてしまった感のあるインテル。サウジアラビアのアル・ヒラル行きに「限りなく近づいている」(『Gazzetta dello Sport』紙より)インザーギ監督の4シーズンの集大成は、やや寂しい形で結末を迎えようとしている。
敗戦から3日後、インザーギ監督の退任が正式に発表された。
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