10月23日に行われるプロ野球ドラフト会議。1位指名が確実視されているのが立石正広(創価大)、石垣元気(健大高崎高)、中西聖輝(青山学院大)、竹丸和幸(鷺宮製作所)の4人だ。彼らは果たしてプロでどのような選手になっていくのだろうか。6球団以上の競合を予想する声もある大学球界No.1スラッガーの具体的な将来像を探ってみよう。
まず立石の最大の魅力は、何といってもその長打力だ。右打者ながら、昨年の明治神宮大会ではライト方向に放り込むなど広角に長打を放つことができ、その打球速度と飛距離はプロに入ってもトップクラスのポテンシャルがある。
一方で課題となるのが調子の波の大きさだ。3年秋のリーグ戦、今年の日米大学野球選手権では16打数3安打(打率.188)と、本来の打撃を見せることができなかった。長いプロのシーズンで安定して結果を残せるかという点についてはまだ疑問も残る。
そういう意味では、左右やスウィングの形などは少し異なるものの、イメージが重なるのが佐藤輝明(阪神)だ。佐藤も大学時代はかなり調子の波が大きく、2年時に初めて出場した国際大会や3年秋のリーグ戦では明らかに本来の打撃を見失っていた。プロ入り後も、ルーキーイヤーに6月までの71試合で19本塁打を量産したかと思えば、8月中旬以降は59打席連続無安打というスランプも経験した。立石も佐藤のように好不調の波が大きいながらも、徐々にホームランを増やしていくのが成功のパターンと言えそうだ。
しかし一方で、佐藤のように長打に振り切ることができず、中距離打者に収まることも考えられる。実際、今年のルーキーでは西川史礁(ロッテ)、佐々木泰(広島)の2人が、打率はともかくなかなかホームランが出ずに苦しんだ。
また、もう一つ気になるのが故障。一過性のものであれば良いが、痛めている箇所が下半身や腰というのはやや気がかりだ。将来の主砲と期待されながら、プロ入り後は故障禍でなかなか殻を破れずにいる野村佑希(日本ハム)、石川昂弥(中日)のようになってしまうと、「ドラフトの目玉」としてはかなり物足りない印象だ。
ただ、野村と石川は高校からプロ入りしたのに対して、立石は大学で全国大会や国際大会も経験しており、体力面についても高校生に比べてしっかり鍛えられていることを考えると、そこまで苦しむ可能性は低いようにも感じる。
とにかく重要なのは、自分の持ち味である長打力という部分にブレないことである。やはり参考にすべきは佐藤のようなプレースタイルではないだろうか。今季、佐藤は日本人選手としては6年ぶりに40本塁打に到達して話題となったが、立石も数年後には40本をクリアすることを目指してもらいたい。
【将来像】
佐藤輝明(阪神)
石川昂弥(中日)
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
【表】2025ドラフト候補ランキング最終版1~50位一覧
【記事】【2025ドラフト候補ランキング最終版│1~10位】創価大・立石、健大高崎・石垣、青山学院大・中西の“BIG3”に続くのは一体誰だ!?<SLUGGER>
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まず立石の最大の魅力は、何といってもその長打力だ。右打者ながら、昨年の明治神宮大会ではライト方向に放り込むなど広角に長打を放つことができ、その打球速度と飛距離はプロに入ってもトップクラスのポテンシャルがある。
一方で課題となるのが調子の波の大きさだ。3年秋のリーグ戦、今年の日米大学野球選手権では16打数3安打(打率.188)と、本来の打撃を見せることができなかった。長いプロのシーズンで安定して結果を残せるかという点についてはまだ疑問も残る。
そういう意味では、左右やスウィングの形などは少し異なるものの、イメージが重なるのが佐藤輝明(阪神)だ。佐藤も大学時代はかなり調子の波が大きく、2年時に初めて出場した国際大会や3年秋のリーグ戦では明らかに本来の打撃を見失っていた。プロ入り後も、ルーキーイヤーに6月までの71試合で19本塁打を量産したかと思えば、8月中旬以降は59打席連続無安打というスランプも経験した。立石も佐藤のように好不調の波が大きいながらも、徐々にホームランを増やしていくのが成功のパターンと言えそうだ。
しかし一方で、佐藤のように長打に振り切ることができず、中距離打者に収まることも考えられる。実際、今年のルーキーでは西川史礁(ロッテ)、佐々木泰(広島)の2人が、打率はともかくなかなかホームランが出ずに苦しんだ。
また、もう一つ気になるのが故障。一過性のものであれば良いが、痛めている箇所が下半身や腰というのはやや気がかりだ。将来の主砲と期待されながら、プロ入り後は故障禍でなかなか殻を破れずにいる野村佑希(日本ハム)、石川昂弥(中日)のようになってしまうと、「ドラフトの目玉」としてはかなり物足りない印象だ。
ただ、野村と石川は高校からプロ入りしたのに対して、立石は大学で全国大会や国際大会も経験しており、体力面についても高校生に比べてしっかり鍛えられていることを考えると、そこまで苦しむ可能性は低いようにも感じる。
とにかく重要なのは、自分の持ち味である長打力という部分にブレないことである。やはり参考にすべきは佐藤のようなプレースタイルではないだろうか。今季、佐藤は日本人選手としては6年ぶりに40本塁打に到達して話題となったが、立石も数年後には40本をクリアすることを目指してもらいたい。
【将来像】
佐藤輝明(阪神)
石川昂弥(中日)
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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