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国内バスケ

【連載インタビュー】渡嘉敷来夢/後編「オリンピックでは『日本のバスケは楽しい』と思ってもらえる試合をして、日本のバスケを盛り上げたい」

小永吉陽子

2020.05.15

高校時代アメリカは遠い世界だったが、プロに入り2013年のアジアカップでMVPに輝いたことで、WNBAでのプレーを意識するようになったという。写真:田中研治

高校時代アメリカは遠い世界だったが、プロに入り2013年のアジアカップでMVPに輝いたことで、WNBAでのプレーを意識するようになったという。写真:田中研治

 本連載では、オリンピックでの活躍が期待される各競技の注目選手の生い立ちや夢舞台への想いに迫る。今回は193㎝の高さを誇る女子バスケ界のエース渡嘉敷来夢が登場。

 JX-ENEOSでは11連覇中心選手であり、日本代表ではリオ五輪でベスト8、アジアカップ4連覇の立役者として活躍。日本人で3人目の選手となるWNBAでは、シアトル・ストームで2015~2017年にわたりプレー。3シーズンで平均15.2分出場、5.5得点、2.4リバウンドの記録を残した。後編では、WNBAや日本代表での活躍、そしてオリンピックにかける思いを聞いた。

――WNBAでプレーしたいと思ったのはいつ頃ですか?

JX-ENEOSに入ってから意識し始めました。高校生の頃は井上(眞一)先生から「お前はアメリカでプレーするんだ」と言われてもピンと来なかったんですけど、2013年のアジアカップでMVPをもらったときに「WNBAでプレーしよう」と明確に思いました。それまでは「アメリカにいつ行くの?」と言われても「いや、いや、いや、いや、まだです」と言っていましたね。WNBAは強い気持ちがないとプレーできる場所ではないので、周りに言われて行くより、自分で行きたいと思ったときに行くべきところだと思っていました。

――シアトル・ストームではトライアウトをせずに契約しましたが、どのような準備をして契約に至ったのでしょうか。

WNBAに行くと決意してから1年くらいかけて準備をしました。プレー集のビデオを作り、エージェント経由でいろんなチームに見てもらいました。その中でいくつかのチームから声をかけてもらったんですけど、トライアウトからというチームもあった中で、シアトルは最初から「契約したい」ということだったので、シアトルに決めました。
 
――3シーズンプレーしてみて、WNBAはどのような舞台でしたか?

思っていた通りの場所でした。外から見ているのと肌で感じるのでは大違いで、世界にはいろんな選手がいました。小さくてもパワーのある選手や、身長が高いのにアウトサイドもできる選手とか、本当にいろんなタイプの選手がいました。そういう、日本にはいないタイプの選手と戦うことで「新しい自分に出会えるんじゃないか」という思いはしましたね。

――新しい自分には出会えましたか? 

出会えましたね。日本では自分より身長の大きい選手と対戦する機会がなかったので、その面では刺激的でした。WNBAに行ってから外からのシュートに積極的になり、ミドルレンジのシュートが得意になりました。

――WNBAと日本で違いを感じたことは? 

やっぱり、高さとフィジカルの違いですかね。映像を見ていると『なんで止められないんだろう?』と思うけど、いざやってみると、ボールを持つ前の動きに差があったり、見ている以上に体の当たりが強く、ボールへの執着心がすごい。ボールを持ったときに「自分がやってやる!」という気持ちがすごく出ているんですよ。こういう一つ一つの動きに違いがあるのでアメリカは強いのだと実感しました。

あと、みんなが負けず嫌いです。自分もめちゃめちゃ負けず嫌いですけど、アメリカではみんなが負けず嫌いなので、自分が負けず嫌いというのがあまり目立たない。「ボールが来たら自分だってやるよ!」といつも思っているけど、それ以上に味方が「ヘイヘイヘイ!」とボールよこせポーズをしてくるので、そうすると「お、おう..」とパスしちゃう時はありましたね。
 
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