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MLB

2021年の大谷翔平はベーブ・ルースを超えてMLB史上最高の選手になったのか?<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.12.31

 大谷の2021年シーズンはMLBの歴史の中でも他に類を見ないものだ。とはいえ、「史上最高のシーズン」と呼ぶにはわずかに足りない。私の考えでは、1920年のベーブ・ルース――また彼の名前が出てきた――こそが史上最高のシーズンだ。なぜなら、その年のルースによってベースボールというゲームが根本から変わったからだ。

 ヤンキースに移ってフルタイムの野手になった(4イニングを除いて)年、ルースは3年連続でMLB最多の本塁打数を放った。18年は11本、19年は29本、そして20年は54本に達した。この数字を別の視点から見てみよう。この年、アメリカン・リーグで51本塁打以上を放ったチームはヤンキース以外になかった。ナ・リーグでは、極端に狭い球場を本拠としていたフィリーズだけが50本(64本)を超えた。21年、ルースは59本塁打を放った。この年、全体で59本未満のチームが16球団中9チームもあった。

 端的に言えば、ルースはベースボールで最も強大な武器であるホームランを極めることによって、球界全体を凌駕したのだ。シングルヒットや盗塁、バントといったスキルは、フェンスを越える打球にはかなわない。ルースは、それ以前には不可能と思われていた形でベースボールに革命を起こした。
 
 考えてみてほしい。11本塁打でタイトルを獲得してからわずか9年後の1927年、ルースはメジャー史上最多の60ホーマーを放った。10年もしないうちに、彼は最も重要な項目における生産性を6倍近くに増やしたのだ。その転換点となった20年、ルースは得点(158)、点(155)、出塁率(.532)、長打(.847)でもMLBトップを記録し、OPSは1.379に達した。OPSでこれ以上の選手を残した選手はボンズ(02年の1.381、04年の1.422)しかいない

 ボンズを評価する際には、ステロイドとのつながりを脇に置く必要がある。ボンズのキャリアの大半を通じて、MLBはパフォーマンス向上薬のテストを行っていなかった。また、ボンズは薬物使用による出場停止処分を一度も受けていない。その意味で、黒人選手が締め出されていた時代にプレーしたルースと同じように、ボンズの成績も正当な記録として認められるべきだ。

 ボンズの最も有名なシーズンは、年間最多記録となる73本塁打を放った01年だ。その翌年には打率.370で首位打者を獲得した。04年、ボンズはすさまじい打棒でゲームを事実上、破壊した。相手投手が彼との勝負をあきらめた結果、歴代新の232もの四球を記録したのである。

 そう、04年のボンズはあまりにも優秀だったため、全打席(617)の約3分の1で勝負する機会を与えられなかったのだ。一人の選手がこのような扱いを受けるなど、ほとんど馬鹿げている。同時に、ボンズがいかに傑出していたかを浮き彫りにしている。ただ、ボンズの活躍は球界全体にはあまり大きな影響を与えなかった。大谷と同様(少なくとも現時点では)、ボンズは特異な現象だと捉えられた。バリーのような選手は他にいない。同じようにショウヘイのような選手が登場する気配もいない。
 

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