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MLB

鈴木誠也と大谷翔平――日本が誇る強打者の“渡米前2年間”を徹底比較! データから「共通点」「相違点」を解き明かす<SLUGGER>

大南淳【DELTA】

2022.04.07

150キロ以上の投球に対する打撃スタッツは、大谷、鈴木、筒香の間に“大きな差”があるようだ。※SLUGGER編集部

150キロ以上の投球に対する打撃スタッツは、大谷、鈴木、筒香の間に“大きな差”があるようだ。※SLUGGER編集部

■打撃3:鈴木は150キロ以上の速球にも高い対応力を発揮

 鈴木はこれまでとは異なる環境でプレーすることになる。新たな環境で目に見えて大きな変化となりそうなのが投手の球速だ。昨シーズンのセ・リーグのストレート平均球速は145.4キロだったが、MLBは93.5マイル(約150.5キロ)で、日本の“大台”が標準レベルになる。

 では、両者はNPB時代にスピードボールにどのような対応を見せていたのだろうか。ここでは、日本時代からの対応が課題とされていた筒香嘉智も対象として比較していく。

 3人のスピードボールへの対応力には大きな差がある(画像)。大谷は150キロ未満の速球には打率.434だったのに対し、150キロを超えると.217と大きく成績を落としていた。一方、「150キロ以上が打てない」と言われてメジャーでも苦戦していた筒香は150キロ未満/以上にかかわらず打率は.250を上回る程度。球速にかかわらず、そもそも速球を苦手にしているように見える。

 一方の鈴木は球速帯にかかわらず打率.320以上とさすがの好成績。長打についても、大谷が23打数で1本も出ていなかったのに対し、鈴木は65打数で5本塁打、長打率も.600と打ちまくっている。コンタクト率も150キロ未満の92.4%と遜色ない数字(89.4%)を残しており、改めて対応能力の高さがうかがえる。

 コンタクト率を見ると、筒香が69.2%/82.3%と150キロ以上にはやはり苦しんでいたようだが、大谷はむしろ150キロ以上に87.0%、未満に78.5%と当てること自体はできていた。大谷はメジャー1年目のオープン戦で不振に苦しみ、開幕直前に足を高く上げないフォームに変更。これが功を奏し、すぐさま好成績を残した。

 もしかするとこのアジャストがスピードボールへの対応を可能にしたのかもしれない。鈴木はNPBにおいて、すでにスピードボールに対応できているため、当時の大谷ほどの大きなアジャストは必要ないかもしれないが、少なからず環境の変化への対応は求められるはずだ。そしてそれが、MLBでの成功のカギを握ると言っても過言ではないだろう。
 
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