専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

鈴木誠也と大谷翔平――日本が誇る強打者の“渡米前2年間”を徹底比較! データから「共通点」「相違点」を解き明かす<SLUGGER>

大南淳【DELTA】

2022.04.07

走攻守の三拍子をハイレベルにこなせる鈴木。メジャーの舞台でもその真価を発揮できるか。※SLUGGER編集部

走攻守の三拍子をハイレベルにこなせる鈴木。メジャーの舞台でもその真価を発揮できるか。※SLUGGER編集部

■走塁:盗塁数では見えない鈴木の走力

 大谷も鈴木も走塁がメインの武器ではないが、2人とも素晴らしい走力を備えている選手だ。大谷は2021年シーズンに26盗塁を決め、投げる・打つに加え、走塁でも優れた選手であることを印象づけた。

 ただ、NPB時代の2016~17年はわずか7盗塁(画像内表F)。投手でのパフォーマンスに気を遣ってか、それほど積極的に走っていなかったようだ。これにより、盗塁による得点貢献を示すwSBは0.0となっている。一方、盗塁以外の走塁による得点貢献を示すUBRは3.7の好成績を残した。

 鈴木も16年、17年にそれぞれ16盗塁。19年には25盗塁を記録したが、20年は6盗塁、昨年は9盗塁と自重傾向にあった。ここ2シーズンのwSBは-0.2、UBRは0.8とともに平均レベルにとどまっている。

 盗塁や走塁指標は平凡だったものの、走力に衰えが見られるわけではない。打ってから一塁に到達するまでのタイムで見てみよう(画像内表G)。計測に成功した一塁到達タイムを選手ごとに上位10件を取り出してその平均をとると、鈴木は4.02秒。

 これは右打者12球団全体6位の数字となっている(10件以上計測に成功した打者を対象)。上位には俊足で鳴らす選手がずらり並んでおり、鈴木のスピードがうかがえる。主たる武器ではないが、走塁も鈴木の強みになる可能性は十分にある。

■守備:強肩は本物だが、ライト線の守りに不安?

 大谷はNPB時代に野手としてほとんど守備についていない。そのため、ここでは鈴木のライト守備を単独で見ていく。

 まず、鈴木のライト守備がNPBでどのレベルと評価されているのか、同ポジションの平均的な守備力の選手に比べてどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)で比較を行う(画像内表H)。2020~21年で見ると、鈴木の値は11.4。2シーズンで平均的なライトより11.4点多く失点を防いだと評価されている。NPB全体では3位。1、2位と僅差の好成績をマークしている。内訳を見ると、一般的に差をつけづらい進塁抑止の項目で優れた数値を記録しており、鈴木の肩の強さがうかがえる。

 守備範囲はどうだろうか。ここでは鈴木がどういった打球に対し、強み・弱みを見せていたか守備範囲指標を使って図示する(画像内図A)。エリアが赤くなるほど平均より多く失点を防いだ、青くなるほど失点をより多く喫したと考えることができる。

 これを見ると鈴木は全体的に優れた値をマークしていることが分かる。特に定位置近辺は満遍なく失点を防いでいるようだ。定位置から後方で赤いエリアが目立っており、より得意としているようにも見える。青が目立つのはライト線。このエリアの守備において、鈴木は明確に他のライトより失点を増やしてしまっている。原因は定かではないが、MLBでのプレーにおいて注目したいポイントの一つである。

文●大南淳(『DELTA』)

※『SLUGGER』2022年5月号より転載

【動画】オープン戦第3号! 今季も「二刀流」での活躍を予感させる一発をチェック

【PHOTO】世界が驚嘆する偉才・大谷翔平のキャリアを厳選ショットで一挙公開!花巻東、日ハム、エンジェルスでの活躍を振り返る

【関連記事】大谷翔平がエンジェルスを“卒業”する日――ワールドチャンピオンを目指すならFA移籍は不可避?〈SLUGGER〉

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号