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大学野球

中日レジェンドも絶賛“次世代の名遊撃手”宗山塁(明治大)が目指す進化形の守備とは?【神宮を沸かせる男たち①】

矢崎良一

2023.06.06

 ショートのレギュラーに定着すると、打順は8番から、試合のたびに7番、6番と上がり、1年秋には全試合に「6番ショート」で出場し、打っても打率.378の好成績を残しベストナインを受賞。そして「3番ショート」となった2年春のシーズンに.429のハイアベレージで首位打者を獲得。攻守に実力を兼ね備え、すでに来年のドラフトの超目玉として複数球団の1位指名が確実視されている。
 
 少し意地悪な質問をしてみた。現在、大学野球界ではナンバーワンと言ってもいい技量を誇り、チーム(明大)も東京六大学を3連覇。昨秋の明治神宮大会を制し日本一も経験した。単純に野球選手としての成長だけを考えたら、この先、大学野球をやる意味はあるのか? 極論すれば、大学を中退してでも今年プロに入っていたらどんな数字を残していたのだろう? 正直、そんなことを考えることはないのだろうか?

「いやいや、それはまったくないです」と宗山は即座に否定した。

「過去の成績をどんどん上回っていくことが自分の成長につながると思っていますから、目標はいくらでも作れます。よく1年生2年生の時の成績が良かったと言われるのですが、自分としては、その中でできなかった部分がすごく悔しくて、そっちに目を向けてしまうんです。性格的にも、完璧にしたい。できなかったところをこれからどうやってできるようにしていこうか、できたところをもっと上げていくには何が必要なのか、といつも考えています。実際、まだ足りないことばかりだし、自分の感覚では、今の自分がプロに行ってやれるか? といったら、そこまでの自信はありません。プロは技術だけではなく、人間力のようなものも求められる世界だと思いますから。

 今年はチームとしても、日本一にならないと負けと言われる。個人としても、これまでの成績をちょっとでも下回ったら、伸びてないと言われる。今の自分はそういう立場にいると思っています。そういう意味でも、今、大学で野球をやる意味は大きいんです。高校大学の7年間って、技術的な成長はもちろんですが、メンタル面、考え方がかなり変わる、すごく大事な時間だと思います」

 この春、チームは完全優勝でリーグ3連覇を果たしたものの、宗山個人としてはレギュラーに定着した1年生の秋以降では初めて打率3割を切る(.294)不本意なシーズンとなった。3季連続で受賞していたベストナインも選考から漏れた。それだけに5日に開幕した全日本大学選手権では心に期するところがある。
 
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