この春、東洋大にはもう一人、新たなスタッフが加入している。コーチに就任した乾真大だ。
乾コーチは東洋大が2007年から2009年にかけてリーグ5連覇を果たした時のエースの一人で、ボールの力もさることながら、先発で長いイニングを投げた翌日もリリーフで登板してしまうようなタフさがあり、4年間で通算10勝を挙げている。大学卒業時にドラフト指名を受け日本ハムに入団。巨人を経て、独立リーグでもプレーし、現役後半は兼任コーチとして選手の指導も行っていた。何よりも細野と同じ左腕投手。当然OBは細野の育成を託していたはずだ。
就任が内定すると、乾はお忍びで2部の試合会場に行き、東洋大の試合を何試合か観客席から観戦したという。それが主目的ではないが、細野のピッチングも実際に見て、イメージを作ってからチームに合流している。就任前にいろんな人から細野の評判を聞かされていた。実際に会って話してみると、全然イメージと違っていたと言う。
「とにかく僕は、彼に話を聞くようにしていました。本人がいつも考えてやっているので、僕はそれを理解して、後押ししてあげるのが基本的なスタンスになります。自分で取り組もうとしていることがあったので、そこに関してはとにかく見守るよ、と。向上心のある子なので、トレーニングも一生懸命だし、球数も投げる。投げないと聞かされていたんですけどね。そんなことは全然なくて、結構投げるから、こちらから『減らしてもいいよ』とセーブすることがあるくらいです。それも自分の投げたいボールのクオリティがあって、それに向かってやっていることなんで、だから球数も自然に増えていく。無理してやっているという感じではないんです」
接していくうちに気付いたことがある。
「思考が“他者”なんです。他者から見た自分をいつも気にしている。『こういうことを言われるんです』と。だから、『それは受け入れなさい』と言いました。『我慢しなさい』と。仕方がないんだから。もう、彼の宿命なんです。僕もそういうものと戦っていた時期がありました。でも、ちょっと変われば、印象って変えられるから。そういうふうに自分を作っていこうよ、と。それで解決していけるから」
練習後のグラウンドで一緒にジョギングをしながら何度かそうやって語り合った。乾は細野のフォアボールについて「これは“野球あるある”」と言って笑って話す。
「左ピッチャーって、そういう目で見られるんですよ。右ピッチャーの3倍くらい、イメージを持たれる。左ピッチャーって、なんか意味わからないところでフォアボール出すでしょう。なんでこのバッター出すの? みたいな。ポンポンとツーアウト取ってフォアボールとか。同じ1個なんだけど、印象に残っちゃう。怒られやすいんです」
独立リーグの兼任コーチを経て、指導者としての人生をスタートさせた乾が、いきなり出会った最高の素材。
「あれだけ出力の高い投手ですから、簡単にはまとまらないと思うし、本人にもそう言っています。細野が技術的にも体力的にも成熟するのは、25歳以降でしょうね。それも本人に言っています。じつは僕も一昨年、独立リーグで、33歳にしてやっと初めて150キロが投げられたんです。150キロって、それくらい凄いんです。まして右ならともかく、左で、大学生で、全国に何人いますか? だから、絶対に150キロを投げる人の感覚なんて、みんなわからないと思います。細野に『孤独だろ?』って聞きました。だって、いないんだから。理解してくれる、同じ境遇の人が。彼もやっぱり『いないです』と言ってました。だったらもう、その孤独な世界で戦うしかないじゃないですか。『お前らにわかるわけないだろ』と思いながら」
乾コーチは東洋大が2007年から2009年にかけてリーグ5連覇を果たした時のエースの一人で、ボールの力もさることながら、先発で長いイニングを投げた翌日もリリーフで登板してしまうようなタフさがあり、4年間で通算10勝を挙げている。大学卒業時にドラフト指名を受け日本ハムに入団。巨人を経て、独立リーグでもプレーし、現役後半は兼任コーチとして選手の指導も行っていた。何よりも細野と同じ左腕投手。当然OBは細野の育成を託していたはずだ。
就任が内定すると、乾はお忍びで2部の試合会場に行き、東洋大の試合を何試合か観客席から観戦したという。それが主目的ではないが、細野のピッチングも実際に見て、イメージを作ってからチームに合流している。就任前にいろんな人から細野の評判を聞かされていた。実際に会って話してみると、全然イメージと違っていたと言う。
「とにかく僕は、彼に話を聞くようにしていました。本人がいつも考えてやっているので、僕はそれを理解して、後押ししてあげるのが基本的なスタンスになります。自分で取り組もうとしていることがあったので、そこに関してはとにかく見守るよ、と。向上心のある子なので、トレーニングも一生懸命だし、球数も投げる。投げないと聞かされていたんですけどね。そんなことは全然なくて、結構投げるから、こちらから『減らしてもいいよ』とセーブすることがあるくらいです。それも自分の投げたいボールのクオリティがあって、それに向かってやっていることなんで、だから球数も自然に増えていく。無理してやっているという感じではないんです」
接していくうちに気付いたことがある。
「思考が“他者”なんです。他者から見た自分をいつも気にしている。『こういうことを言われるんです』と。だから、『それは受け入れなさい』と言いました。『我慢しなさい』と。仕方がないんだから。もう、彼の宿命なんです。僕もそういうものと戦っていた時期がありました。でも、ちょっと変われば、印象って変えられるから。そういうふうに自分を作っていこうよ、と。それで解決していけるから」
練習後のグラウンドで一緒にジョギングをしながら何度かそうやって語り合った。乾は細野のフォアボールについて「これは“野球あるある”」と言って笑って話す。
「左ピッチャーって、そういう目で見られるんですよ。右ピッチャーの3倍くらい、イメージを持たれる。左ピッチャーって、なんか意味わからないところでフォアボール出すでしょう。なんでこのバッター出すの? みたいな。ポンポンとツーアウト取ってフォアボールとか。同じ1個なんだけど、印象に残っちゃう。怒られやすいんです」
独立リーグの兼任コーチを経て、指導者としての人生をスタートさせた乾が、いきなり出会った最高の素材。
「あれだけ出力の高い投手ですから、簡単にはまとまらないと思うし、本人にもそう言っています。細野が技術的にも体力的にも成熟するのは、25歳以降でしょうね。それも本人に言っています。じつは僕も一昨年、独立リーグで、33歳にしてやっと初めて150キロが投げられたんです。150キロって、それくらい凄いんです。まして右ならともかく、左で、大学生で、全国に何人いますか? だから、絶対に150キロを投げる人の感覚なんて、みんなわからないと思います。細野に『孤独だろ?』って聞きました。だって、いないんだから。理解してくれる、同じ境遇の人が。彼もやっぱり『いないです』と言ってました。だったらもう、その孤独な世界で戦うしかないじゃないですか。『お前らにわかるわけないだろ』と思いながら」
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