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NBA

MVPに嫌われたスーパースター――。なぜコビー・ブライアントは1度しかMVPを受賞できなかったのか?

大井成義

2020.04.01

リーグトップの実力者であったにもかかわらず、MVP受賞は1回のみ。コビーのキャリアにおける謎に迫る。(C)Getty Images

リーグトップの実力者であったにもかかわらず、MVP受賞は1回のみ。コビーのキャリアにおける謎に迫る。(C)Getty Images

■ライバルのレブロンと比較しても少なすぎるコビーの受賞回数

『ダンクシュート』2019年11月号に、“21世紀最強の選手は誰か?”という特集が掲載されている。日米8人のNBAライターがトップ20人を挙げ、それぞれの順位に規定のポイントを割り振って集計した結果、1位に選ばれたのがレブロン・ジェームズ。2位はコビー・ブライアントで、2人の獲得ポイント数は153対148と、その差はごくわずかだった。

 レブロンとコビー。実力、人気の両面で、21世紀のNBAを代表するスーパースターである。双方とも今世紀に16シーズンずつプレーしているのだが、その間に残した業績は目も眩むほどきらびやかだ。めぼしいものを拾い出して比較してみよう(※2000-01~2018-19シーズンに限定)。

・優勝:レブロン3回/コビー4回
・オールスター選出:レブロン15回/コビー16回
・オールスターMVP:レブロン3回/コビー4回
・ファイナルMVP:レブロン3回/コビー2回
・得点王:レブロン1回/コビー2回
・オールNBA1stチーム:レブロン12回/コビー11回
 
 キリがないのでこの辺で止めておくが、2人が手にした勲章の数は、ほぼ互角と言っていいだろう。

 ところが、である。NBA選手にとって最高の名誉とされる個人アウォード、“NBA MVP(以下MVP)”の受賞回数に、思いのほか大きな差があるのだ。レブロンの4回に対して、コビーは意外なことにわずか1回。

 あれだけスペシャルな選手が、歴代6位タイの20シーズンという長いキャリアを過ごし、さらには5回の優勝を遂げているにもかかわらず、たったの1回しかMVPを受賞していないというのも、妙な話である。

 1984年以降の複数回受賞者を見渡してみると、マイケル・ジョーダンが5回、レブロンが4回、ラリー・バードとマジック・ジョンソンが3回ずつ、カール・マローン、ティム・ダンカン、ステフィン・カリー、スティーブ・ナッシュがそれぞれ2回ずつ、そしてコビーの1回……。ものすごい違和感だ。

 そこには思いがけない理由が潜んでいるのだろうか。それとも、なるべくしてなった当然の結果なのであろうか。
 
“サスペンスの神様”と謳われた巨匠アルフレッド・ヒッチコックは、あれほど多くの名作を世に送り出しながら、一度もアカデミー監督賞を獲ることができなかった。それゆえ、“アカデミー賞に最も嫌われた男”と言われている。同時代に生きた“西部劇の神様”ジョン・フォード監督は、4回も受賞しているにもかかわらず。

 コビーは“MVPに最も嫌われたスーパースター”なのだろうか――。
 
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