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ヘッドコーチの最も重要な仕事とは?名将・名手たちが語った“勝てる指揮官“の条件

北舘洋一郎

2020.04.14

ヘッドコーチという仕事について、選手や指揮官自身はどのように考えているのか。(C)Getty Images

 "NBAのヘッドコーチ(HC)にとって一番重要な仕事は何か"という質問を、これまで何人ものコーチ、そして選手に聞いてきた。そのなかから、印象的だったいくつかの意見を抜粋しよう。

 1986~89年までシカゴ・ブルズでマイケル・ジョーダンを指導し、彼と相性が良かったとされるダグ・コリンズは、「HCの最も重要な仕事は、チームの一番手の選手、スタープレーヤーの話をよく聞くこと。選手とコーチの会話は8:2で、選手に8割話をさせないと、そもそも始まらないんだ」と話す。

「指揮官は、ゲームの勝敗を左右するスーパースターと一心同体にならなくてはならない。そのためには、その選手が何を考えていて、どのようにプレーすれば最高のパフォーマンスができるのかを常に模索し、それを実行する必要があるんだ」
 
 リーグのトップに君臨する選手たちは、自身にどれくらいのレベルのプレーができて、どれほどチームに勝利をもたらすことができるのかをわかっているものだ。若く野心の大きい選手ほど「俺はこれぐらいの器には収まらない、もっとハイレベルなプレーができるんだ」と前のめりになるし、ベテランになれば自分の長所を熟知しているため、相手を得意なフィールドに誘い込み、有利に展開に持ち込もうとしたたかにプレーする。そして、コートに立つ選手同士も互いにそれを理解し合っているのだ。

 また、2016~18年にクリーブランド・キャバリアーズのHCを務め、2016年にはレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)とともにリーグ制覇を成し遂げたティロン・ルーはこう話している。

「試合中のベンチワークこそがHCの一番の仕事。誰をどの場面で起用するのか、相手チームは今どういう状態で、もし自分が相手チームの指揮官なら、何を仕掛けてくるだろうかと予測する。有能なアシスタントコーチを採用し、彼らにオフェンス、ディフェンスの両面から試合を冷静かつ専門的に分析させ、選手たちに戦略を浸透させてもらう。コーチとプレーヤーが腹を割ってコミュニケーションできる場を作れなければ、勝率6割以上、いわゆるプレーオフ進出ラインに成績を乗せることはできないんだ」
 
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