NBA

ガーネット、ウォーレスをはじめ、キャリア15年以上の“古強者”を多数輩出した1995年【NBAドラフト史】

大井成義

2020.04.28

20年ぶりに高校から直接NBA入りした選手となったKG。その後順調に成長し、2004年にはMVPを受賞した。(C)Getty Images

■1995年ドラフト組からは15年選手が8人も誕生

「このリーグで10年間サバイブする(生き残る)だけでも大したものだ」

 ずいぶん前に、NBAの試合中継で現地コメンテーターが語っていた言葉である。主要選手のキャリア10年オーバーはさほど珍しいことではなく、その時は今ひとつピンとこなかったが、ドラフトされた選手のキャリアをいろいろ調べていると、その言葉の持つ意味がよくわかってくる。

 子どもの頃から将来を嘱望され、夢のNBAからドラフトを受けたはいいものの、数年でリーグからドロップアウトする選手がいかに多いことか。調べてみたところ、まずドラフトされた選手のうち、1秒でも公式戦でプレーできた選手は約4割。6割はスタートラインにすら立てていない。

 そして2013年に『USA TODAY』に掲載されたデータによると、NBA選手の平均キャリアは4.8年だそうである。選手寿命は年々延びており、掲載時から7年を経た今はいくぶん長くなっているかもしれないが、まあ大差はないだろう。その数字は、NBAでの競争の熾烈さや、世界最高峰のバスケットボールリーグで長年に渡りプレーし続けることが、どれだけ難しいかを如実に物語っている。
 
 NBAで10年間サバイブすることが称賛に値するなら、15年以上生き永らえ、35歳過ぎまでプレーできたら、それはもう一大快挙と言っていいだろう。今回紹介する1995年のドラフト組からは、そんな古強者が8人も誕生している。その数は、カール・マローン、チャールズ・オークレー、パトリック・ユーイングらを輩出した1985年の10人、ケビン・ウィリス、ジョン・ストックトン、アキーム・オラジュワンらを世に送り出した1984年の9人に次ぐ多さだ。

 8人のうち最も長いキャリアを送ったのが、このドラフト組の出世頭、ケビン・ガーネット(以下KG)である。2015-16シーズンを最後にユニフォームを脱いだKGは、歴代2位タイとなる21シーズンのキャリアを過ごしている。NBA在籍21年ともなると、古強者や大ベテランといった言葉を通り越して、もはや人間国宝、仙人のレベルだ。

■20年ぶりの高卒NBA選手を目指す、KGに注目が集まる

 1995年6月28日、アメリカ国外では初の開催となるNBAドラフトが、トロントのスカイドームで行なわれた。1995-96シーズンからリーグに加わったエクスパンションチーム、トロント・ラプターズとバンクーバー(現メンフィス)・グリズリーズにとって、初めてのドラフトである。

 なお、その新設2チームによるエクスパンション・ドラフトがその4日前に実施され、コイントスに勝ったグリズリーズがNBAドラフトの高い指名順位を選び(6位)、負けたラプターズがエクスパンション・ドラフトの優先権を手にしている。