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NBA

ロビンソン、キッド、ヒル…無風の1994年ドラフトの舞台裏で起きた予想外のトラブルとは?【NBAドラフト史】

大井成義

2020.09.25

1994年のドラフトで1位指名されたロビンソン(左)。2位にはキッド(右上)、3位にヒル(右下)といったスターが名を連ねた。(C)Getty Images

1994年のドラフトで1位指名されたロビンソン(左)。2位にはキッド(右上)、3位にヒル(右下)といったスターが名を連ねた。(C)Getty Images

■1位指名が確実視されたのはパデュー大のロビンソン

 NBAドラフトには裏話や秘話といった類のストーリーや、意外性に富んだドラマが付き物だ。上位指名権を持つチームによるギリギリの駆け引きが繰り広げられ、情報戦が飛び交う場であるゆえ、すぐには表に出てこない微妙な話があって当然である。また、チームの首脳陣にとってフランチャイズの将来が、選ばれる選手にとっては人生が懸かった一大イベント、重大な決断の裏に様々なドラマが生まれるのも必然だろう。

 その一方で、目を見張るストーリーや裏話などありそうもない、無風状態のドラフト年も稀に存在する。予想された選手たちが予想通りの順番で選ばれる、そんな年だ。今回紹介する1994年のドラフトはその一例だろう。指名選手の顔ぶれや指名順は、メディアによる事前予想とほぼ同じで、言わば予定調和に推移したドラフトだった。

 1993-94シーズンの成績は、マーベリックス(マブズ)が13勝69敗でダントツの最下位、続いてウルブズ、バックス、ピストンズの3チームがそれぞれ20勝62敗でブービーに名を連ねた。5月22日に行なわれたドラフトロッタリーで、最も高い25%の1位指名権獲得率を持っていたマブズに代わり、16.3%のバックスに1位指名権が転がり込む。以下、2位マブズ、3位ピストンズ、4位ウルブズ、5位ブレッツ(現ウィザーズ)に指名順が確定した。
 
 1位指名が確実視されていたのは、身長201cmの万能型フォワード、パデュー大3年のグレン・ロビンソン。今シーズン途中にウォリアーズからセブンティシクサーズに移籍したグレン・ロビンソン3世の父親だ。

 ロビンソンはインディアナ州ゲーリーに生まれ育ち、高校時代に全米で最も歴史の古いインディアナ州のミスター・バスケットボールに選出、マクドナルド・オールアメリカンにも選ばれた。地元に近いパデュー大に進学し、学業の問題で1年間プレーできなかったものの、2年目からコートに立つと持てる才能を遺憾なく発揮。平均24.1点、9.2リバウンド、3ポイント成功率40%をマークする。

 3年時には平均30.3点、10.1リバウンド、3ポイント成功率38%を記録し、前年の成績がフロックではなかったことを証明してみせた。NCAAの得点王に輝き、チームをNCAAトーナメントのエリート8に導くと、その年の主要アウォードを総なめにする。この頃付いたニックネームが“ザ・ビッグドッグ”。ゲームにおけるトップの選手や、その分野を支配するようなベストの人物を指すスラングだ。
 
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