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NBA

ロビンソン、キッド、ヒル…無風の1994年ドラフトの舞台裏で起きた予想外のトラブルとは?【NBAドラフト史】

大井成義

2020.09.25

2位指名のキッドはドラフト前にトラブルを連発したが、入団後は司令塔として大活躍。前年わずか13勝で最下位だったチームを率いて36勝をあげ、ヒルとともに新人王を受賞。(C)Getty Images

2位指名のキッドはドラフト前にトラブルを連発したが、入団後は司令塔として大活躍。前年わずか13勝で最下位だったチームを率いて36勝をあげ、ヒルとともに新人王を受賞。(C)Getty Images

 2位指名の本命は、カリフォルニア大2年のジェイソン・キッド。マジック・ジョンソンと比較され、さらには1981年のアイザイア・トーマス以来、最も才能にあふれたPGと称されたキッドは、ずば抜けたコートビジョンとパスセンスを持ち、2年時に平均16.7点、6.9リバウンド、9.1アシスト(全米1位)、3.1スティール(同4位)という見事な成績を残している。

 3位指名には名門デューク大4年のグラント・ヒルが有力視されていた。在学4年で3度NCAAトーナメント決勝に進出し、2度の優勝を果たした成功者。アンセルフィッシュで堅実なプレースタイルに加え、卓越したリーダーシップを持つヒルは、すべてのチームが欲しがるタイプの選手だった。複数のポジションでプレーすることができ、ディフェンスにも優れ、スコティ・ピッペンとの類似性を指摘する識者も多かった。

■2位候補がトラブルを連発。無風のはずが怪しい雲行きに

 平穏無事に推移すると思われていた94年のNBAドラフトだったが、そうは問屋が卸さなかった。まず、ロッタリーからドラフト本番までの間に、キッドがプライベートでトラブルを連発する。
 
 ロッタリーの前夜、友人とナイトクラブに繰り出していたキッドは、帰路に運転していたSUVで蛇行運転やスピード違反(時速177km)を繰り返し、ついにはほかの車と接触。SUVは横転し、目撃者によると逆さまのまま100m以上滑っていたという。

 挙げ句の果に、事故現場から逃走するという愚挙をやらかす。現場に残った友人たちは、公衆の面前での酩酊状態により逮捕。キッドは捕まった後、1杯飲んだだけと主張するも、そんな与太話が通るはずもなかった。さらに、捕まってもなおパトカーの窓を蹴るなど、その行動は常軌を逸していたそうだ。

 さらにはドラフトの5日前、3月に開催した自身の誕生日パーティーで、19歳の女性に暴力を振るったかどで訴えられてしまう。その女性は、キッドが1度デートしたことのある女性の友人で、理由もなく何度も殴られ、髪を引きずられて叩き出されたそうだ。その時キッドは酩酊状態だった。

 裁判は女性側の勝訴に終わり、4年後にキッドは7万5000ドルの支払いを命じられている。加えて、別の女性から認知訴訟を起こされ敗訴。プライベートとはいえ、トラブルまみれのキッドの獲得について、2位指名権を持っていたマブズは頭を悩ませた。
 
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