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NBA

“静かなる英雄”アレクシー・シュベド。かつてNBAにも挑戦した欧州No.1シューターのバスケキャリアに迫る

小川由紀子

2020.11.08

欧州ベストシューターのシュベドは、環境面でNBAは「自分に向いていなかった」という。(C)Getty Images

欧州ベストシューターのシュベドは、環境面でNBAは「自分に向いていなかった」という。(C)Getty Images

 現在のヨーロッパにおけるベストシューターといえば、ロシアのヒムキに所属するアレクシー・シュベドだろう。アンドレイ・キリレンコ(元ユタ・ジャズほか)をはじめフロントコート勢の活躍が目立つロシアにおいて、彼は同国史上最高のガードとも言われている。

 今季は開幕から負傷により欠場していたが、ユーロリーグ復帰初戦となった5節のマッカビ・テルアビブ戦でいきなり32得点、11アシストをマーク。続く6節も15得点、12アシストと2試合連続でダブルダブルをクリアし、開幕5連敗中だったヒムキを初勝利に導いた。

 彼が2017-18シーズンに記録した年間740得点はユーロリーグのオールタイムレコードであり、ヒムキが籍を置くVTBユナイテッド・リーグでも、キャリア通算2677点はリーグ最多。毎年コンスタントに2桁得点が見込める、抜群の安定感もシュベドの強みだ。
 
 シュートの上手さもさることながら、彼は“マークするのが非常に難しい選手”と言われている。かつてヒムキでチームメイトだったフランス人フォワード、ノベル・ブーング・コロもかつて「死に物狂いでディフェンスしても、なぜだかヤツは抜け道を見つけて、気づけばひょいっとシュートを決めているんだ」と話していたが、タイミングやペースチェンジの巧みさは、デビュー当時から定評があった。

 そして流れるようなプレー。ジャンプしながら最高地点に達する前に放つショットや、ハイポストからのフローティング、フェイントなど、表情をまったく変えず、いとも簡単にやっているかのように淡々とプレーする。

 彼をバスケットボールの世界に導いたのは、ロシア代表選手だった姉だった。練習を見に来たアレクシーを、姉がコーチの1人に紹介。そのコーチはCSKAモスクワのU-16チームのスタッフも兼任していたため、さっそくトライアルに呼んでプレーを観たところ、すぐに気に入り「この少年とすぐサインすべきだ。彼にはまぎれもない素質がある」とフロント陣を説得したのだという。
 
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