今季のオクラホマシティ・サンダーはリーグトップかつフランチャイズ記録の68勝14敗(勝率82.9%)の好成績を残し、強豪揃いのウエスタン・カンファレンスで第1シードの座を獲得した。
球団レコードを更新しただけでなく、他カンファレンスに対する勝率でNBA記録(29勝1敗/96.7%)を樹立し、平均得失点差は歴代2位の12.87と、パーフェクトに近いシーズンを過ごした。そのチームをエースとして牽引したのがシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(SGA)だ。
198㎝・88㎏の長身ガードはサンダー在籍6年目の今季、平均32.7点でキャリア初の得点王に輝いたほか、5.0リバウンド、6.4アシスト、1.7スティール、1.0ブロックと攻守両面で主軸を務め上げ、現地時間4月20日(日本時間21日、日付は以下同)に発表されたMVPの最終候補でニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)とともに名を連ねた。
SGAがサンダーに加入したのは2019年。初年度の2019-20シーズンのチームはデニス・シュルーダー(現デトロイト・ピストンズ)、クリス・ポール(現サンアントニオ・スパーズ)、SGAの“3ガード”を中心とした布陣で予想外のプレーオフ進出を果たした。
ただ、翌2020-21シーズンを前にシュルーダーとポールが退団し、その後2年連続で勝率3割以下と低迷。しかし、マーク・ダグノーHC(ヘッドコーチ)の下で2022-23シーズンに40勝42敗(勝率48.8%)を残してプレーオフまであと1勝と肉薄した。
そして昨季はウエスト首位の57勝25敗(勝率69.5%)を残し、SGAは2年連続でオールスターとオールNBA1stチームに選出、MVP投票では2位に入り、名実ともにスーパースターの仲間入りを果たした。
26歳のSGAは、MVP候補に入るにはチームの戦績を高める必要があったと、4月21日にカナダのメディア『SPORTSNET』に公開された記事で語っていた。
「僕にとっては、もし同じ成績を残していてもチームがウエスト10位だったら、その数字には何の意味もない。僕が成功を収めることができたのは、このチームとチームメイトのおかげなんだ。僕が常に言っているのは勝つことがすべてということ。勝っていればすべては後からついてくるものだからね」
また、同記事で元サンダーのポールはSGAを「バスケオタク」と表現し、次のように続けた。
「数日前も電話で話してて、一緒に試合を観ながらバスケの話題になった。シェイはシンプルってわけじゃないけど、彼の生活は試合を観て、プレーして、家族と過ごして、服を買う。それだけなんだ。僕らはいつも一緒だったし、彼の努力を見てきたから、今の成功は時間の問題だと思ってたよ」
同じくSGAとサンダーで1年間プレーしたシュルーダーは、後輩の成長スピードに驚愕していた。
「俺とクリス・ポールが(サンダーで)一緒にプレーしてた時、ピック&ロールからのミドルレンジを“レイアップ”って呼んでいたんだ。でも当時のシェイは、まだその武器を持っていなかった。俺たちが『そのミドルが身についたら、誰も止められないぞ』って言ったら、彼は『やってみせるよ。練習する』と答えた。今じゃ、その分野でもトップレベルの1人だ。彼が4人を抜いて得点するのを見たこともある。だから、パスする必要なんてないけど、彼はチーム全体を見てるんだ」
今季のMVP争いはサンダーをリーグトップに導いたSGAと、史上3人目の平均トリプルダブル&得点、リバウンド、アシスト、スティールの4部門でリーグトップ3に入ったヨキッチによる一騎打ちの様相となっている。
はたして、SGAはキャリア7年目で最高の称号を手にすることができるのか。受賞者の発表を楽しみに待ちたいところだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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198㎝・88㎏の長身ガードはサンダー在籍6年目の今季、平均32.7点でキャリア初の得点王に輝いたほか、5.0リバウンド、6.4アシスト、1.7スティール、1.0ブロックと攻守両面で主軸を務め上げ、現地時間4月20日(日本時間21日、日付は以下同)に発表されたMVPの最終候補でニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)とともに名を連ねた。
SGAがサンダーに加入したのは2019年。初年度の2019-20シーズンのチームはデニス・シュルーダー(現デトロイト・ピストンズ)、クリス・ポール(現サンアントニオ・スパーズ)、SGAの“3ガード”を中心とした布陣で予想外のプレーオフ進出を果たした。
ただ、翌2020-21シーズンを前にシュルーダーとポールが退団し、その後2年連続で勝率3割以下と低迷。しかし、マーク・ダグノーHC(ヘッドコーチ)の下で2022-23シーズンに40勝42敗(勝率48.8%)を残してプレーオフまであと1勝と肉薄した。
そして昨季はウエスト首位の57勝25敗(勝率69.5%)を残し、SGAは2年連続でオールスターとオールNBA1stチームに選出、MVP投票では2位に入り、名実ともにスーパースターの仲間入りを果たした。
26歳のSGAは、MVP候補に入るにはチームの戦績を高める必要があったと、4月21日にカナダのメディア『SPORTSNET』に公開された記事で語っていた。
「僕にとっては、もし同じ成績を残していてもチームがウエスト10位だったら、その数字には何の意味もない。僕が成功を収めることができたのは、このチームとチームメイトのおかげなんだ。僕が常に言っているのは勝つことがすべてということ。勝っていればすべては後からついてくるものだからね」
また、同記事で元サンダーのポールはSGAを「バスケオタク」と表現し、次のように続けた。
「数日前も電話で話してて、一緒に試合を観ながらバスケの話題になった。シェイはシンプルってわけじゃないけど、彼の生活は試合を観て、プレーして、家族と過ごして、服を買う。それだけなんだ。僕らはいつも一緒だったし、彼の努力を見てきたから、今の成功は時間の問題だと思ってたよ」
同じくSGAとサンダーで1年間プレーしたシュルーダーは、後輩の成長スピードに驚愕していた。
「俺とクリス・ポールが(サンダーで)一緒にプレーしてた時、ピック&ロールからのミドルレンジを“レイアップ”って呼んでいたんだ。でも当時のシェイは、まだその武器を持っていなかった。俺たちが『そのミドルが身についたら、誰も止められないぞ』って言ったら、彼は『やってみせるよ。練習する』と答えた。今じゃ、その分野でもトップレベルの1人だ。彼が4人を抜いて得点するのを見たこともある。だから、パスする必要なんてないけど、彼はチーム全体を見てるんだ」
今季のMVP争いはサンダーをリーグトップに導いたSGAと、史上3人目の平均トリプルダブル&得点、リバウンド、アシスト、スティールの4部門でリーグトップ3に入ったヨキッチによる一騎打ちの様相となっている。
はたして、SGAはキャリア7年目で最高の称号を手にすることができるのか。受賞者の発表を楽しみに待ちたいところだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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