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「今は“過程”が無視されがちなんだ」グリーンがシボドー解任のニックスに苦言「優勝を狙えるだけの戦力ではなかった」<DUNKSHOOT>

ダンクシュート編集部

2025.06.10

シボドーはニックスでの5年間で4度チームをプレーオフに導くも、プレーオフ終了後に解任された。(C)Getty Images

 今季のニューヨーク・ニックスは、イースタン・カンファレンス3位の51勝31敗(勝率62.2%)でレギュラーシーズンを終えた。プレーオフは1回戦でデトロイト・ピストンズを4勝2敗で、カンファレンス準決勝では前年王者ボストン・セルティックスを4勝2敗で撃破し、2000年以来のカンファレンス決勝に駒を進めた。

 ファイナル進出がかかったイースト決勝では、第5シードのインディアナ・ペイサーズに連敗スタート。第3戦、5戦は勝利したものの、ホームでの最初の2試合を落としたことが致命傷となり、シリーズ2勝4敗で敗れた。

 この結果を受け、フロントは6月4日にトム・シボドーHC(ヘッドコーチ)の解任を発表。2020年からチームを率いた67歳は、通算226勝174敗(勝率56.5%)でニューヨークを去ることとなった。

 このニックスの決断に苦言を呈したのがドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)だ。NBAで4度の優勝を経験している元オールスターフォワードは、自身のポッドキャスト『The Draymond Green Show』でシボドー解任について言及した。

「今回シボドーに起きたことは、近年のNBAでよく見られる現象だ。俺たちが(クリーブランド)キャバリアーズとの一連の激闘や、当時(2010年代後半)のNBAで支配的な時代を築いたことで、今は"優勝、優勝、優勝"って話ばかりになってる。そのせいで、"優勝を目指す過程"が無視されがちなんだ」とグリーンは指摘。
 
「それ(優勝)は本当に大変なことで、時間もかかる。しかもその"時間"はチームごとに違う。もしシボドーを"この人では優勝できない"って理由で解任したなら、まだ理解できる。でも、"このチームで優勝できなかったから"って理由で責任を取らせたなら、それは間違っている。だってこのチーム(ニックス)は、優勝を狙えるだけの戦力ではなかったんだ」

 今季のニックスはジェイレン・ブランソン、昨夏に獲得したカール・アンソニー・タウンズ、ミケル・ブリッジズを中心に、25年ぶりにカンファレンス決勝に進出。1999年以来となるファイナル進出は果たせなかったが、チームとしては大きな前進だった。

 グリーンは、シボドーの解任はチームの実力不足を彼1人に押しつけたものだと語った。

「ニックスは今のロスターじゃ優勝できないと思う。誰を何分出そうが、シボドーのせいじゃない。彼がこのチームを25年ぶりのカンファレンス・ファイナルに導いたことは、大きな一歩だった。フロントはそれを"あと1、2人いれば山を越えられる" と捉えるべきだった」

 そしてグリーンは、補強が必要な1、2人もロールプレーヤーではなく、"本物のスター"でなければならないと続けた。

「このチームが優勝できなかったことを理由にシボドーを解任するのはおかしい。"優勝できて当然の戦力だったのに失敗した"というならともかく、俺の目から見て、これは違うと思う。俺はその違いを分かってるつもりだから」

 89年からNBAでコーチとして活躍し続けてきたシボドーにとって、今回の解任はあまりにも理不尽な仕打ちだったと、グリーンは主張している。

構成●ダンクシュート編集部

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