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NBA

「これは後戻りじゃない」海を渡り、国籍を変えた“NBA No.1級ルーキー”が欧州で取り戻した”バスケへの純粋な愛”

小川由紀子

2020.02.21

スロベニア国籍の取得を決断し、同国のユーロバスケット優勝に大きく貢献。(C)Getty Images

スロベニア国籍の取得を決断し、同国のユーロバスケット優勝に大きく貢献。(C)Getty Images

 ドラギッチが「ランドルフはチームに必要なラストピースだった」と語ったように、強力なパワーフォワードを布陣に加えたスロベニアはユーロバスケットで見事優勝。しかもグループリーグでフランスやギリシャを倒し、準決勝ではスペインに20点差をつけて圧勝、決勝戦でもセルビアを破り、9戦全勝のパーフェクトで同国史上初の快挙を成し遂げた。そこに平均11.7点、 5.2リバウンドと大活躍したランドルフの貢献があったのは言うまでもない。

 かつてのランドルフはアメリカ代表にも選ばれ、銅メダルを獲得した15年のパンアメリカン大会にも出場していた。さらに彼の両親は米軍勤務で、NBA時代のインタビューでは、「愛国心の強い君のご両親も、君が国を代表してプレーすることを喜んでいることだろう」といった質問を受けるシーンもあった。

 しかしランドルフの選択は、自分の人生にとって“バスケットボールがいかに大切か”という信念に基づいたものだった。
 
「ドラギッチやドンチッチらとともに注目度の高い大会に出れば、自分を露出する機会にもなる。それに、ガソル兄弟やエルナンゴメス兄弟、そのほかNBAでプレーするハイレベルの選手たちとも競い合える。今後バスケットボール人生を末永く続けていきたい自分にとって、ヨーロッパのパスポートを取得することはプラスになると思った」

 苦渋の決断を下した理由を、ランドルフはそうインタビューで語っている。

 ユーロバスケットで大会MVPに輝いたドラギッチは、「ランドルフは今NBAに戻っても十分通用する」と太鼓判を押すが、本人は、「ただ『NBAに帰ってきたぞ!』というためだけに戻るつもりはない」と話す。

「欧州に来て、自分はなぜバスケットボールを始めたのか、初心に返って見つめ直すことができた。NBAでデビューした当時の自分は、未熟者だったよ」

 そう過去を振り返ったランドルフは「自分がそのチームにとってなにができるのか、それを実感できる場所にいることが大事だと気づいた。ベンチに座るためでなく、俺はプレーがしたい。バスケットボールが大好きだから」と続けた。
 
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