2007年、当時全米の高校No.１選手で、大学入学前のＯＪ・メイヨ（元ミルウォーキー・バックスほか）がジョーダン主催のバスケットボール・キャンプ、“マイケル・ジョーダンズ・フライト・スクール”に招待された。その時、メイヨは無謀にもジョーダンにトラッシュトークを仕掛ける。ジョーダンが語った話を要約するとこんな感じだ。

「メイヨと会うのはそれが初めてだった。彼は『あんたは俺をガードできない』と何度も言ってきたんだ。キャンプの参加者が他にもいたので、個人の相手をするわけにはいかなかったが、あまりにしつこく突っかかってくる。そこで、キャンプを一旦止め、彼の相手をしてやったのさ。

　１オン１をプレーしながら、彼に言ってやったよ。『お前は高校生でベストのプレーヤーかもしれないが、私は世界中でベストのプレーヤーだ』。そこからキャンプはレッスンではなくなった。彼は１ゲームも勝てなかったよ」

　この時ジョーダン44歳。引退してから４年も経つのに、この凄さである。
  ■負けず嫌いの“神”も認めたコビーの１オン１能力

　その７年前、コビーもジョーダンに対し、同じように面と向かって挑発している。2014年に刊行された『Eleven Rings: The Soul of Success』の中で、著者のフィル・ジャクソンがレイカーズＨＣ就任時の逸話を明かしており、その内容はすこぶる興味深い。

　コビーの最終的なゴールは、史上最高のバスケットボール選手になることだった。そして彼は、そこに辿り着くために誰を乗り越えなければならないのか、十分すぎるほどわかっていた。それゆえ、コビーは誰の話にも耳を貸そうとはしなかった。

　ジャクソンのアドバイスに従い、チームの勝利のため自分の得点を減らすことになれば、究極のゴールへの道のりが遠のくことになる。そう考えるコビーはジャクソンの指示に反旗を翻すこともあり、そんなコビーにジャクソンは手を焼いていた。ジャクソンの心配をよそに、チームメイトに「リングを10個勝ち取りたい」と息巻くコビー。

　自分本位なコビーにお手上げ状態だったジャクソンは、レイカーズＨＣ就任１年目の1999－00シーズン、ジョーダンとコビーによる１対１の対面をアレンジする。ジャクソンの文章を引用してみよう。