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NBA

「若くして死に、不滅の存在になりたい」“ジョーダン超え”に執念を燃やしたコビー・ブライアントの知られざる逸話〈DUNKSHOOT〉

大井成義

2021.01.29

ジョーダンは2013年に1オン1でコビーに負ける可能性があることを示唆。究極の負けず嫌いである男には極めて異例の発言だった。(C)Getty Images

ジョーダンは2013年に1オン1でコビーに負ける可能性があることを示唆。究極の負けず嫌いである男には極めて異例の発言だった。(C)Getty Images

“ジョーダンを追い抜いて最も偉大な選手になることに、コビーは躍起になっていた。彼のマイケルに対する執着心には並々ならぬものがあった。そのシーズンにシカゴでプレーした時、コビーが私欲を捨ててチームワークに徹するよう態度を変えるのを、マイケルが手助けしてくれるかもしれないと考え、2人のスターのミーティングを企てた。彼らが握手を交わした後、コビーの口から出た最初の言葉は、「俺は1オン1であんたをやっつけられるぜ(kick your ass)」だった。”

 調べてみると、1999-00シーズンにレイカーズがシカゴで試合を行なったのは2000年2月15日。その時ジョーダンは36歳、2度目のスリーピート達成後、現役を退いておよそ2年が経っている。それまでレギュラーシーズンに4度直接対決を果たしており、チーム戦績は2勝2敗、個人スタッツはコビーの平均出場時間19分29秒、15.8点、2.8リバウンド、0.8アシストに対し、ジョーダンは平均39分35秒、31.0点、5.8リバウンド、3.3アシスト。

 この時も含め、ジョーダンとコビーによる“個人的な”1オン1対決が実現することはなかった。以前、『ダンクシュート』の連載ページでコビーの1オン1について採り上げたが、改めて記載させていただこう。当時CBSのNBAライターだったマット・ムーアによって、2013年に行なわれたインタビューでの発言だ。

――現役OBを問わず、最も対戦してみたい選手は?
コビー:ジョーダン。疑問の余地はないね。

――対戦の結果は?
コビー:確信は持てないけど、7本先取のゲームだったら、彼が何本か取って、俺も何本か取って、たぶんラスト数本の勝負になるだろう。
 
 一方、ジョーダンは同じ2013年に、前出の『NBA 2K14』のプロモーション用インタビューでこんな発言をしている。

「私がプライム(全盛期)の時、誰と1オン1をプレーしたかっただろうか……。そのリストはとても長いものになるね。ジェリー・ウエストから始まって、エルジン・ベイラー、プライム時のコビー・ブライアント、レブロンのプライム時、Dウェイドのプライム時、メロ(カーメロ・アンソニー)、そのあたりがいいスタートだろう。

 私が負けるとは思わない。コビー・ブライアント以外にはね。なぜなら、彼は私のすべての動きを盗んだのだから」

 すべての動きを盗んだ――。そんな大胆とも言える発言を、ジョーダンは真面目とも冗談ともつかない表情で語っている。そのインタビューが動画サイトにアップされた後、ネットニュース界がざわついたのは言うまでもない。

 その後、コビーはラジオ番組の電話インタビューでジョーダンの発言について質問された際、次のように答えている。

「俺は歴史を知っている。マイケルの動きがどこから来ているかも知っているよ。デイビッド・トンプソンやドクターJ(ジュリアス・アービング)、とりわけジェリー・ウエストからだ。マイケルが一から創り上げたんじゃない。彼は多くの動きを、過去の偉大な選手から盗んだんだ。俺はマイケルのいくつかの動きを盗んだ。そして、他の誰よりも上手に盗んだ。我々は偉大な先人から学ばなければならない。それは、我々にとってあるべき姿なんだ」
 

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