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NBA

歴代屈指の“不作”と言われるも、ペイトンやジャクソンといった絶滅危惧種の個性派が揃う1990年【NBAドラフト史】

大井成義

2020.09.18

 次に、そこそこの成績を残しながら、大きく期待を裏切ったとされるコールマン。現役15シーズンの成績は平均16.5点、9.3リバウンドと、数字だけ見れば最低限の仕事をしたと思われても良さそうだが、実際はダメダメな印象が強い。自己中でワガママ、素行の悪さに加え、怠け者で練習嫌いとくれば、伸びる才能も伸びないだろう。あれだけの才能を持ちながら、その半分も発揮できなかったのではないだろうか。

 新人王を獲得し、〝近い将来、カール・マローンやチャールズ・バークレーを凌駕する〞とまで言われたダイヤの原石が、普通の石のままで終わってしまった。1995年には、自分のプレーを真面目に批評したマローンを、練習後の囲み会見で〝アンクル・トム(白人に媚を売る、卑屈な黒人)〞呼ばわりし、物議を醸している。色んな意味で、鑑賞のし甲斐がある選手だった。
 
 そして1990年組の真打ち登場である。クリス・ジャクソン改めモックムード・アブドゥル・ラウーフだ。1991年、イスラム教に改宗したジャクソンは、1993年に改名し完全に生まれ変わる。

 幼い頃からトゥレット症候群というチック障害の一種を患っていたラウーフは、身の回りのあらゆることを完璧にやらなければ気が済まなかった。靴の紐を結ぶ作業や、シャツの裾をズボンに入れるのに何十分もかかることがあった。完璧にできたと感じるまで、止めることができなかったのだ。

 それはバスケットボールでも同じだった。完璧に打てたと感じるまで、2時間ぶっ続けでシュートを打つことも珍しくなかった。頭や身体は止めたがっても、病気がそれを止めさせなかった。その結果、彼のシューティング能力は極限まで高められることになる。
 

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