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NBA

歴代屈指の“不作”と言われるも、ペイトンやジャクソンといった絶滅危惧種の個性派が揃う1990年【NBAドラフト史】

大井成義

2020.09.18

 1993年には最も成長した選手に贈られるMIP賞を受賞し、前途は洋々だった。ところが、1995年にリーグを揺るがすレベルの大騒動を巻き起こす。イスラム教へますます傾倒していったラウーフは、「アメリカ国旗は圧制の象徴である」との考えから、試合前の国家斉唱中に起立しないという行動に出た。起立ボイコットは60回以上にも及び、リーグから制裁を加えられても止めようとしなかった。

 その騒動を境に、彼は下り坂を転げ落ち、わずか9年間でNBAのコートから姿を消した。生き方は不器用ながら、天才的なシューティング能力を持ち、ひたすら我が道を突き進むラウーフは、個人的に大好きな選手だった。
 
 YouTubeにアップされている当時のドラフト中継番組が面白い。デイビッド・スターンNBAコミッショナーから名前を読み上げられ、ガムをクチャクチャさせながら壇上に上がり、スターンと一緒に記念写真に収まるペイトン(ガムを噛みながら登壇した選手は初めて見た)。指名直後のインタビューで、笑顔をまったく見せることなく、淡々と質問に答える、とても21歳には見えない老成したジャクソン。

 時代が変わったと言ってしまえばそれまでだが、個性的なキャラクターの選手の数は、年々少なくなっているように思う。ペイトンやジャクソンのような一風変わった選手たちが、なんとなく懐かしい今日この頃である。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2017年6月号掲載原稿に加筆・修正。

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