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海外サッカー

サッカー界からヘディングが消える!? 英国で強まる“撲滅”に向けた動き「元選手がすでに命を…」【現地発】

松澤浩三

2021.04.06

激しい肉弾戦が魅力の一つとされてきたプレミアリーグだが、ヘディングが消えるとなれば、その在り方も変わるかもしれない。(C) Getty Images

激しい肉弾戦が魅力の一つとされてきたプレミアリーグだが、ヘディングが消えるとなれば、その在り方も変わるかもしれない。(C) Getty Images

 サッカーという競技に置いて「ヘディング」が歴史を紡いだシーンを思い返すと枚挙に暇がない。

 1998年のフランス・ワールドカップで、自国開催での戴冠に燃えていたレ・ブルー(フランス代表の愛称)の天才ジネディーヌ・ジダンが決めた2点はどちらもヘディングシュートだった。

 翌年に開催されたチャンピオンズ・リーグ(CL)ファイナルでも、1-1の同点で迎えたロスタイムにマンチェスター・ユナイテッドのオレ=グンナー・スールシャールが右足で決めた劇的な決勝弾も、ディビッド・ベッカムが蹴った左CKをニアサイドでテディ・シェリンガムが頭でフリックしていなければ、生まれてはいなかった。

 無論、ヘディングは守備面でも重要な要素である。相手FWとの空中戦での攻防やゴールライン際での決死のクリアなど、頭を使ったプレーは様々な局面でドラマチックな展開を作り出してきた。

 だが、ヘディングが将来的にはこのスポーツから消える可能性が出てきている。

 昨年2月、イングランド、スコットランド、そして北アイルランドのウェールズを除く英国の各サッカー協会(FA)は、11歳以下の選手に「練習中のヘディング指導をしない」という条項を含むガイドラインを発表した。

【動画】イングランドで「伝説」と語り継がれるヘディングが生んだマンU戦士のゴラッソシーンはこちら
 同ガイドラインでは、「12歳から16歳の間も段階的にヘディング指導を行なうこと」を命じ、ヘディング練習そのものもU-18カテゴリーまでは「低プライオリティー」とした。また試合での制限は加えられていないものの、1試合に行なうヘディング数も1~2回程度とも記されている。

 これらガイドラインは、FAとイングランドプロサッカー協会(PFA)の資金提供のもと、17年から19年にかけてグラスゴー大学の研究チームが行なった研究結果を受けて定められたものだ。

 研究は、1900~76年に生まれたスコットランドの元プロサッカー選手7676人を対象とし、これらを英国民健康保険(NHS)に登録されている社会人口統計で一致した約2万3000人の一般人と比較して行なわれた。

 対象となった元選手のうち、すでに亡くなった1180人の死因を分析すると、神経変性疾患で死亡するリスクが一般人の3.5倍となることが判明。さらに元選手は一般人に比べ、パーキンソン病の発症率が約2倍、運動ニューロン疾患(MND)の発症率が約4倍、アルツハイマー病の発症率が約5倍も高く、その一方で、肺がんや心筋梗塞こうそくなどのリスクは一般人より低いとされた。

 イングランドFAは、「この研究によってヘディングが神経変性疾患にリンクしている証拠が出たわけではありません。しかしながら、今回のガイドラインは、潜在的なリスクを軽減するために、年内に欧州全体のガイドラインを公開する予定のUEFA(欧州サッカー連合)の医療委員会と並行して作成されました」と説明。そして、この研究結果が出た4か月後の昨年6月に、UEFAも独自の調査の結果を受けてガイドラインを発表している。
 
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「わずか1回のヘディングで脳に大きな損傷が起こる可能性は低い。しかし――」

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