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「カート」や「F2」に似ている今季のF1ではアロンソが優位⁉恩恵を受けるドライバーを海外メディアが指摘

THE DIGEST編集部

2022.02.16

今季のF1では、ベテランのアロンソが再び輝くかもしれない。(C)Getty Images

今季のF1では、ベテランのアロンソが再び輝くかもしれない。(C)Getty Images

 今季、コロナ禍によって1年遅れで施行されることになったF1の新レギュレーションが、今後のF1勢力構図にどれほどの変化を与えるかということとともに、ドライバーたちのパフォーマンスへの影響度の度合いにも注目されている。

 2022年より、グランドエフェクトによりダウンフォースを得る空力コンセプトが導入され、フロア下で得られるダウンフォースの量が増加する一方で、フロントウイングやリアウイングなどの空力パーツの形状が簡素化される。これにより、走行時の車の後方に発生していた乱気流が抑制され、バトルとともに、オーバーテイクの頻度も増加すると見込まれている。

 2月10日に新レギュレーションに対応した新型マシン「AMR22」を発表したアストンマーティンのチーフテクニカルオフィサーであるアンドリュー・グリーンによれば、グランドエフェクトカーはそのポテンシャルを最大限に発揮するためには路面に近接することが重要となるため、剛性の高いマシンとなる結果、カートに近い感覚をドライバーに抱かせることになるという。

 スペインのスポーツ紙『MARCA』はこの点に注目し、同国出身のドライバーであるフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、カルロス・サインツ(フェラーリ)がいずれも、現在でもカートをトレーニングに用いており、カートイベントにも頻繁に参加している他、ともに独自のカート用サーキットを所有し、定期的にこれを利用していることを紹介。感覚とともにフィジカル面での強化にも役立てていることから、新たなシーズンのF1では2人が少なからず優位性を得られる可能性があると主張している。
 
 この記事の中で、サインツは今季のF1カーについて「見た目の形だけでなく、ドライビングにおいても大きな変化がある。これまでよりも困難になりそうであり、例えばコーナリングはこれまでのよりも快適さでは下回るだろう。速くなるが、同時に難しくもなる」とコメント。サスペンションの剛性が増すことによる影響であり、彼はシミュレーターで、これまで以上にフィジカル面でも厳しい車となることを確認したという。

 スポーツ専門メディア『ESSENTIALLY SPORTS』は、この2人に加え、同じくカートでの活動に積極的なランド・ノリス(マクラーレン)も有利になるドライバーのひとりに挙げるが、そのノリスをはじめとする多くの関係者が「今季のF1マシンはF2と同じ特性を示す可能性がある」と語っていることから、ここ数年でF2に参戦していたドライバーも優位性が得られると同メディアは指摘する。もちろん、一昨季にこの下部カテゴリーで活動した角田裕毅(アルファタウリ)も恩恵を受ける可能性があるひとりだ。

 角田、そして2020年以降のF2を経験したハースのミック・シューマッハー、ニキータ・マゼピン、ルーキーの周冠宇(アルファロメオ)は、今季より採用される18インチタイヤ(これまでは13インチ)での実戦経験もあることから、この点における優位性がいかなるものかも気になるところだ。

 ちなみに、18インチタイヤについては、アロンソも「WEC世界耐久選手権で経験し、タイヤの特性をよく知っている」として自身にとってのアドバンテージのひとつだと語っている。前述の今季の車の特性も含め、この40歳の大ベテランが多くの利点を有していると見られていることは非常に興味深い。

 角田が生まれた翌年の2001年にミナルディからF1デビューした際に「F1は800馬力のカート」(『MARCA』紙より)と語り、カートでの感覚を大切にしながらキャリアを積んだアロンソは昨季、2年のブランクがありながら6戦程度で適応すると、多くの鮮やかな追い抜きや王者ルイス・ハミルトンへのフェアかつ巧みなブロックを見せるなど、最も上手さを感じさせるドライバーとなった。もし来る新シーズン、全ての状況が彼に味方したら……この元チャンピオンの動向も今季の大きな注目点のひとつだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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