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シャンパンカラーの載冠で感じた父ドゥラメンテの偉大な“血脈”。僅差のウンブライルの末脚は“一級品”の価値だ!【NHKマイルC】

三好達彦

2023.05.09

 傍目にも流れが速いことは分かったが、実際1000mの通過ラップは58秒4と、稍重の馬場状態を考えればかなりのハイペースで進んでいった。そして、後方の馬たちもポジションを押し上げながら、府中の長い直線を迎える。

 逃げ・先行馬が苦しむところへオオバンブルマイが馬群を抜け出したが、そこへ9番人気のシャンパンカラーが襲い掛かって先頭に躍り出る。だが、それを許すまじと大外から猛追してきたのが8番人気のウンブライル。ゴール前は2頭の激しい叩き合いとなったが、シャンパンカラーが猛追したウンブライルをアタマ差抑えて勝利の凱歌を上げた。

 3番人気のオオバンブルマイは3着に粘ったものの、他の人気馬は総崩れ。カルロヴェローチェが5着、エエヤンが9着、ドルチェモアは12着と、中団より前でレースを進めてハイペースに巻き込まれた馬たちは、いずれも直線で伸び脚を欠いて敗れ去った。
 
 シャンパンカラーは、4月の桜花賞(GⅠ)を制したリバティアイランドと同じく、父ドゥラメンテ産駒。このほかにもタイトルホルダー、スターズオンアース、ドゥラエレーデと、こうして続けざまにGⅠ馬を輩出しただけに、ドゥラメンテの急死(2021年8月31日)が余計に惜しまれる。

 休養明けのニュージーランドトロフィー(GⅡ)を3着し、ひと叩きされたことで調子を上げていたシャンパンカラー。東京コース2戦2勝と得意にしていた舞台でそのポテンシャルを爆発させ、人気の盲点を突くように戴冠を果たした。

 殊勲の内田博幸騎手は本レース2勝目。単勝17番人気(オッズ76.0倍)のピンクカメオで勝った2007年、内田騎手はまだ地方の大井競馬に所属していたが、くしくもその時と同じ「稍重」馬場での勝利だった。

 プレビュー記事で”イチ推し”としたウンブライルは、惜しくも僅差で勝利こそ逸したが、末脚の切れ味は一級品であることを改めて証明した。手綱を取った横山武史騎手は「馬(の状態)は最高でした。前走からブリンカーを付けて好走したように(前に乗った)阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ、15着)とは全然メンタルが違いました。結果だけが残念でした」と納得の走りだったことを明かした。

 オオバンブルマイは、前走のアーリントンカップ(GⅢ)の優勝後、武豊騎手が「3歳のマイル路線ではトップクラスの1頭」と語っただけの実力は見せた。ただ、上位2頭とは差を付けられたように、これからの成長が待たれるところだ。

 人気上位を占めた馬たちは、稍重のなかでのハイペースという予想外のレース展開と、道悪の巧拙が主な敗因になったと言えるだろう。こちらも秋までにどのような変貌を見せるかに注目していきたい。

文●三好達彦

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