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【名馬列伝】11度目の挑戦で悲願のGⅠを掴んだ世界的良血馬キングヘイローの長き苦闘と栄光

三好達彦

2022.09.26

 ついに6歳を迎えた2000年の如月。フェブラリーステークス(GⅠ、東京・ダート1600m)をひと叩きしたキングヘイローは、春のスプリント王決定戦となる高松宮記念(GⅠ、中京・芝1200m)に臨む。

 レースは稀に見る激戦となった。

 前を行くアグネスワールド、ブラックホークに対し、中団を進むディヴァインライトとキングヘイロー。この4頭が直線で激しい鍔迫り合いを繰り広げ、0秒1差の間に4頭が突っ込む激闘となったが、最後にひと伸びしたキングヘイローがディヴァインライトをクビ差抑えて、ついに11度目の挑戦で悲願のGⅠタイトルを手に入れたのだった。

 調教師の坂口正大は、再び手綱を託した柴田善臣とキングヘイローを迎えながら人目もはばからず涙を流した。そして、僅かに競り負けたディヴァインライトの福永祐一は馬上で静かに悔しさをかみ殺していた。
 
 キングヘイローはラストランの有馬記念(GⅠ、中山・芝2500m)で4着に健闘して現役を引退。翌春から北海道・新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬入り。06年オークスと秋華賞の二冠をとったカワカミプリンセス、09年高松宮記念とスプリンターズステークスを制するローレルゲレイロなどを輩出し、世界的な良血馬の真価を見せた。

 2019年の3月19日、北海道新冠町の優駿スタリオンステーションに繋養されていたキングヘイローは、老衰によって24歳で没した。手にしたGⅠタイトルは一つにとどまったが、それが苦い思い出であったとしても、デビュー間もない福永祐一が真のプロへと飛躍する礎となったことを忘れてはならない。

文●三好達彦

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