マネージャーと、SNSを使って情報発信。リクルートを始めようと打ち合わせをしていた矢先、一人の高校生から問い合わせの電話が入る。2020年の年明けのことだ。
「選手ではなく、データ分析などのスタッフとして入部することは出来るのですか?」
連絡してきたのは、現在、チームのアナリストを務める佐々木勇哉(慶大2年)だった。指定校推薦で4月からの入学が決まっていて、「大学ではスポーツの分析系をやりたい」という希望があるという。いわゆる飛び込み。コネもなく、野球部の組織も何も知らずに門を叩いてきた。
竹内は「これは願ってもないチャンス」と思った。
聞けば、水泳の競技経験があり、野球は小学校の頃にやっていたが、高校では野球部に所属していたわけではない。今後、スポーツに関わっていくとしたら、マネージャーかトレーナーかアナリストか。そのなかで、よりプレーヤーに近いところで競技に携わりたいという思いから、アナリストを選択したという。
ただ、野球部一本だったわけではなく、体育会で、自分が好きな競技やプレー経験がある競技を候補にリサーチしていた。最終的にラグビーか野球に絞り、両方の練習を見学した。
ラグビーは競技的にもそうしたデータ分析が進んでいて、慶大でもアナリスト部門がすでに設立され、システムやスタッフが確立されていた。一方、野球部にはまだそうしたシステムはなく、これから着手していこうという段階だった。竹内は、佐々木に言った。
「アナリストとしてのスキルを磨きたいのであれば、ラグビーに行ったほうがいい。ただ、野球部には現状そういう組織がなくて、これから作り上げていくことになるので、その思いを汲んでくれて一緒に頑張りたいというのであれば、ぜひ野球部に来てほしい。うち(野球部)でやるメリットは、ゼロから何かを作る仕事に携われること。そこはラグビー部にはない野球部の強みかもしれない」
佐々木は、「どうせやるなら、ゼロからやったほうが面白いんじゃないか」と思ったという。大学4年間で何をやりたいのかと考えた時に、分析に関するマニアックな知識よりも、大所帯のチームで、自分のやることが勝利に直結する、影響を与えられるというところに挑戦していきたい、実際にプレーする選手たちと勝ち負けを共有したい、という思いが強かった。
採用面接は堀井哲也監督と竹内の2人で行った。
もし入部が決まれば、この部門の第1号ということになる。竹内は、「本人の意欲、やる気は大前提として、インテグリティ(高潔性)のようなところまで求めました」と言う。しかし佐々木は、そんな不安のまったくない好青年だった。
堀井もまた、佐々木に本格的な野球経験がないことを、まったくネガティブな材料として捉えていなかった。むしろ、「これからはそういうプレーヤー出身者以外の人材が必要になる」と考えていた。こうした専門職のスタッフは、チームのトップにいる人物がどれくらい理解があるかで立場がまったく変わってくる。佐々木もそこを少なからず不安に感じていたが、堀井の思考の柔軟性に逆に驚かされた。
こうしてアナリスト部門を先導する人材として、佐々木の入部が決まる。
「選手ではなく、データ分析などのスタッフとして入部することは出来るのですか?」
連絡してきたのは、現在、チームのアナリストを務める佐々木勇哉(慶大2年)だった。指定校推薦で4月からの入学が決まっていて、「大学ではスポーツの分析系をやりたい」という希望があるという。いわゆる飛び込み。コネもなく、野球部の組織も何も知らずに門を叩いてきた。
竹内は「これは願ってもないチャンス」と思った。
聞けば、水泳の競技経験があり、野球は小学校の頃にやっていたが、高校では野球部に所属していたわけではない。今後、スポーツに関わっていくとしたら、マネージャーかトレーナーかアナリストか。そのなかで、よりプレーヤーに近いところで競技に携わりたいという思いから、アナリストを選択したという。
ただ、野球部一本だったわけではなく、体育会で、自分が好きな競技やプレー経験がある競技を候補にリサーチしていた。最終的にラグビーか野球に絞り、両方の練習を見学した。
ラグビーは競技的にもそうしたデータ分析が進んでいて、慶大でもアナリスト部門がすでに設立され、システムやスタッフが確立されていた。一方、野球部にはまだそうしたシステムはなく、これから着手していこうという段階だった。竹内は、佐々木に言った。
「アナリストとしてのスキルを磨きたいのであれば、ラグビーに行ったほうがいい。ただ、野球部には現状そういう組織がなくて、これから作り上げていくことになるので、その思いを汲んでくれて一緒に頑張りたいというのであれば、ぜひ野球部に来てほしい。うち(野球部)でやるメリットは、ゼロから何かを作る仕事に携われること。そこはラグビー部にはない野球部の強みかもしれない」
佐々木は、「どうせやるなら、ゼロからやったほうが面白いんじゃないか」と思ったという。大学4年間で何をやりたいのかと考えた時に、分析に関するマニアックな知識よりも、大所帯のチームで、自分のやることが勝利に直結する、影響を与えられるというところに挑戦していきたい、実際にプレーする選手たちと勝ち負けを共有したい、という思いが強かった。
採用面接は堀井哲也監督と竹内の2人で行った。
もし入部が決まれば、この部門の第1号ということになる。竹内は、「本人の意欲、やる気は大前提として、インテグリティ(高潔性)のようなところまで求めました」と言う。しかし佐々木は、そんな不安のまったくない好青年だった。
堀井もまた、佐々木に本格的な野球経験がないことを、まったくネガティブな材料として捉えていなかった。むしろ、「これからはそういうプレーヤー出身者以外の人材が必要になる」と考えていた。こうした専門職のスタッフは、チームのトップにいる人物がどれくらい理解があるかで立場がまったく変わってくる。佐々木もそこを少なからず不安に感じていたが、堀井の思考の柔軟性に逆に驚かされた。
こうしてアナリスト部門を先導する人材として、佐々木の入部が決まる。