これを「伸び悩み」という言葉で片付けてしまうのはいささか酷だ。“戦国”と呼ばれる東都大学リーグ。名門、強豪が入り混じる中で、毎シーズン、激しい順位争いが繰り広げられる。よしんば優勝を逃しても、順位を一つでも上げて最下位だけは回避したい。最下位には入れ替え戦が待っている。そこで敗れれば下位リーグへの降格。この春を含め13度の優勝を誇る青学大も、佐々木が入学する前年までは2部リーグで苦汁を嘗めていた。
おのずと各チームとも勝敗にこだわり、野球がシビアになっていく。いわば相手の良さを潰し合う野球。活躍した選手がいれば徹底的にマークされ、苦手なコースがわかれば、えげつなくそこを突いてくる。佐々木に対しても、甘いコースに配球してくれることはなくなり、低めの変化球や、それを活かすための内角球など厳しく攻められた。だから、その中で結果を出せる選手は「本物」と言える。
2年生の秋、開幕カードの国学院大戦で、2シーズンぶりとなるホームラン(通算7号)を打つ。試合後のインタビューでは笑顔で記者の質問に答えていたが、「自分が試合に出ていていいのか、という気持ちもあります」と口にした。ずっと胸に抱いていた思いだ。
「これだけ打てなかったらチームに申し訳ないし、いろんな人に迷惑を掛けている。監督も自分が1年生でああいう結果を出してから、『使わなくてはいけない』というのがあったはずです。だから、1本打ててホッとしました」
たしかに青学大の安藤寧則監督も、なかなか結果が出ない佐々木を、それでも春は3番、秋は4番に固定し、我慢の起用を続けていた。佐々木は、「僕とはレベルが違うけど、WBCの村上(宗隆)さんの気持ちがわかりました」と苦笑する。
「でも、打順を下位に下げてもらっても、ただ悔しいだけで、気持ちが楽になれるわけではない。逆に、悔しくなって力んでいた気がします。あそこまで悪くなると、どの打順でも結果は変わらなかったと思います。とにかく早く1本(ホームランを)打ちたい、と。状態が悪い中でも、1本打つことの重要性を痛感しました」
復調の気配が見えた矢先、再び不運なアクシデントに見舞われる。シーズンなかばの中大戦。中大のMAX155キロ右腕・西館勇陽投手から、頭部を直撃するデットボールを受ける。
脳震盪のリスクがあり、そのまま担架に乗せられ退場。救急車で病院に搬送された。幸い大事には至らず次の試合からスタメン復帰したが、バッティングへの影響はあった。「1本出てから、しばらく良い感覚で打てていたんですが、あのデットボールの後、無意識のうちに身体が開くのが早くなっていました」と悔しそうに言う。
おのずと各チームとも勝敗にこだわり、野球がシビアになっていく。いわば相手の良さを潰し合う野球。活躍した選手がいれば徹底的にマークされ、苦手なコースがわかれば、えげつなくそこを突いてくる。佐々木に対しても、甘いコースに配球してくれることはなくなり、低めの変化球や、それを活かすための内角球など厳しく攻められた。だから、その中で結果を出せる選手は「本物」と言える。
2年生の秋、開幕カードの国学院大戦で、2シーズンぶりとなるホームラン(通算7号)を打つ。試合後のインタビューでは笑顔で記者の質問に答えていたが、「自分が試合に出ていていいのか、という気持ちもあります」と口にした。ずっと胸に抱いていた思いだ。
「これだけ打てなかったらチームに申し訳ないし、いろんな人に迷惑を掛けている。監督も自分が1年生でああいう結果を出してから、『使わなくてはいけない』というのがあったはずです。だから、1本打ててホッとしました」
たしかに青学大の安藤寧則監督も、なかなか結果が出ない佐々木を、それでも春は3番、秋は4番に固定し、我慢の起用を続けていた。佐々木は、「僕とはレベルが違うけど、WBCの村上(宗隆)さんの気持ちがわかりました」と苦笑する。
「でも、打順を下位に下げてもらっても、ただ悔しいだけで、気持ちが楽になれるわけではない。逆に、悔しくなって力んでいた気がします。あそこまで悪くなると、どの打順でも結果は変わらなかったと思います。とにかく早く1本(ホームランを)打ちたい、と。状態が悪い中でも、1本打つことの重要性を痛感しました」
復調の気配が見えた矢先、再び不運なアクシデントに見舞われる。シーズンなかばの中大戦。中大のMAX155キロ右腕・西館勇陽投手から、頭部を直撃するデットボールを受ける。
脳震盪のリスクがあり、そのまま担架に乗せられ退場。救急車で病院に搬送された。幸い大事には至らず次の試合からスタメン復帰したが、バッティングへの影響はあった。「1本出てから、しばらく良い感覚で打てていたんですが、あのデットボールの後、無意識のうちに身体が開くのが早くなっていました」と悔しそうに言う。
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